調査・データ日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は1月31日、「ロジスティクスKPIとベンチマーキング調査」報告書を公表した。回答した荷主企業の98%が売上高物流コスト比率を把握していると回答した一方で、納期順守率や欠品に関する指標(KPI)を把握している比率はそれぞれ22%、44%と、大半のロジスティクス部門で重視していないことが分かった。
この調査は、JILSが2005、07、08年度に続いて実施したもので、製造、卸、小売業とその物流子会社を対象としている。13年度調査は8月6日から9月6日にかけて調査を行った。
調査結果によると、回答企業が「最も重視している」「重視している」と回答した比率の合計が高かったのは、売上高物流コスト比率(94%)、在庫日数/在庫回転率(87.8%)、誤出荷率(79.2%)、棚卸差異率(74.1%)——の順で、重量当たり物流コスト(49.4%)、返品率(55.5%)、欠品率/即納率(55.6%)はあまり重視されていない実態が分かった。
製造業と卸・小売業の比較では、製造業の関心がコストと在庫日数/在庫回転率に偏っているのに対し、卸・小売は幅広い指標に関心を払っている傾向が明らかになった。JILSではこの結果に対し「卸売業は中間流通業であるため、需給調整が重要な機能で、返品率、欠品率といった需給調整の巧拙が現れる指標に対する関心が高いのが特徴」と指摘している。
■ロジスティクス指標のまとめ(JILS調べ、2007-13年度累計値)
サンプル数 | 中央値 | 平均値 | |
---|---|---|---|
物流コスト(売上高物流コスト比率) | 83 | 4.52% | 4.97% |
商品・製品在庫(在庫日数) | 68 | 18.7日 | 25.8日 |
全棚卸資産(在庫日数) | 63 | 32.3日 | 39日 |
返品率 | 45 | 0.22% | 3.72% |
欠品率 | 30 | 0.82% | 2.29% |
誤出荷率 | 46 | 23ppm | 94ppm |
遅配・時間指定違反率 | 39 | 12ppm | 298ppm |
荷傷み発生率 | 45 | 114ppm | 655ppm |
納期順守率 | 19 | 100% | 98.6% |
配送件数(配送1件当たり売上) | 61 | 4.8万円/件 | 3912.9万円/件 |
配送先数(配送先1件当たり売上) | 60 | 2800万円/件 | 15億7200万円/件 |
SKU(1SKU当たり売上) | 57 | 3200万円/SKU | 1億4700万円/SKU |
納品リードタイム | 70 | 24時間 | 46時間 |
棚卸差異率 | 31 | 65% | 0.48% |
棚卸資産廃棄損(対売上高) | 30 | 0.69‰ | 3.76‰ |
■調査報告書概要版のダウンロードURL
http://www.logistics.or.jp/jils_news/KPI報告書概要版.pdf