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労働力不足、モーダルシフト促進など指摘続々

国交省、物流政策アドバイザリー会議の意見公開

2014年3月11日 (火)

行政・団体国土交通省は10日、今月3日に初開催した物流政策アドバイザリー会議の議事概要を公表した。

物流政策アドバイザリー会議では、日本通運、ヤマト運輸、佐川急便の3社が労働力不足問題に関する現状・課題などをプレゼンテーションし、認識の共有を図った。アドバイザーからは、モーダルシフトを促進するための課題や労働力不足への対策など、幅広い意見が出された。

■物流政策アドバイザリー会議でアドバイザーから出された意見

モーダルシフトをさらに推進するためには、貨物鉄道の駅施設等の改善等によりトラックとの結節を強化しリードタイムを改善すること、利用しやすいダイヤの輸送力を拡充すること等の課題に対応する必要がある。
トラック、鉄道、航空、船舶の各モード間の補完が重要。昨年9月以降、東西航路の長距離フェリー、RORO船は満船状態であり、モーダルシフトの受け皿の役割を果たしている。
フェリー船上でヘッドを切り離して、荷物を載せたシャーシだけを輸送する無人航送が労働力不足に対応したモーダルシフトの切り札となる。
積出し、積卸しを行う港湾までのトラクターヘッドのドライバーが不足している。ある地域では、港から200キロを越えるとドライバー1人での運送が困難となる。
ドライバー不足は事業規模を問わず、厳しい状況。実際に廃業した物流事業者もいる。定年退職に伴って、若手を採用できていない。特に長距離運行のドライバーが不足している。大型免許の取得者数も減っている。
太平洋側はある程度モーダルシフトの受け皿があるが、日本海側の対策も考える必要がある。鉄道利用を拡大するには、全国的な条件整備が必要。
ドライバーの長時間労働・過重労働の対策が課題。女性ドライバーの活用やドライバーの負荷を減らすため、オートマ車の増加、ナビの活用等を行っていきたい。3分の1ルール等の商慣習の見直しや複数荷主による工場から物流センターまでの共同輸配送の仕組みも検討するべき。
モーダルシフトを進めるには、事業者が経済的メリットを得られるようになることが重要。核となる荷主、物流事業者、3PLへの働きかけが重要。
3月に労働力の限界をむかえると言われているが、4月以降も中長期的な対応策の検討が必要。モーダルシフトの推進、女性、高齢者、外国人等の多様な手段の活用、職場の環境づくりの検討を行っていきたい。
幹線における労働力が不足し、値上げの圧力が生じている。効率性の向上を含め、関係者全員にとって、全体最適となる取組が必要。
物流は労働集約的な産業であり、労働力不足対策としての観点から、労働環境の改善、イメージ改善、就業者の定着率向上、共同輸配送の推進等を図るべき。
500-800キロ以上の長距離では鉄道輸送や内航海運・フェリーの割合が増えるが、モーダルシフトを推進するためには、さらにドラスティックな対応策が必要。
リードタイムが多少生じても構わない商品もあるので、商品特性に応じた輸送選択という観点があってもいいのではないか。
労働力不足はピンチであるが、チャンスでもある。ドライバーの賃金引き上げにつながることを期待している。若いドライバーが運転を楽しいと思えるよう、ハイテク機器、IT等を活用することも重要。
労働力不足は国際競争力にも関わってくる課題。社会構造の問題なので、根本的な対応策が必要。景気が良くなって、トラックの労働力不足に焦点が当たっているが、物流産業全体の中で考えていく必要がある。

■関連資料
「労働力不足について」(国交省総合政策局物流政策課)