行政・団体厚生労働省は、自動車運転者を使用する事業場に対して全国の労働基準監督署などが2025年に実施した監督指導、送検の状況をまとめた。トラック事業者では、監督指導を行った3175事業場のうち2564事業場、80.8%で労働基準関係法令違反が確認された。改善基準告示違反は1812事業場で57.1%に上り、24年4月に時間外労働の上限規制や改正改善基準告示が適用された後も、労働時間や拘束時間に関する違反が多く確認された。なお、監督対象は法令違反が疑われる事業場で、業界全体の違反率を示すものではない。
トラックの主な労働基準関係法令違反は、労働時間が1269事業場で40.0%と最も多く、割増賃金の支払いが605事業場で19.1%、労働時間の状況把握が170事業場で5.4%だった。改善基準告示では、1日当たりの「最大拘束時間」違反が1408事業場、44.3%で最多となり、休息期間が1017事業場、32.0%、月・年単位の総拘束時間が936事業場、29.5%と続いた。連続運転時間違反も777事業場、24.5%に上った。
監督事例では、スーパーマーケット向け食品配送を行うトラック運転者に、36協定で定めた特別延長時間を超え、1か月最大125時間、年間1328時間の時間外労働をさせていたケースがあった。月の総拘束時間が310時間を超えたほか、1日の拘束時間15時間超、休息期間9時間未満、連続運転4時間超も確認された。事業者は減車による過密運送を長時間労働の要因と判断し、人員補充や運行スケジュールの見直しを実施。荷主に配送ルート変更や運行間隔の拡大を申し入れ、時間外・休日労働を月100時間未満、総拘束時間を310時間以内に改善した。
別の長距離輸送事業者では、月最大108時間、年間1026時間の違法な時間外労働が判明した。荷主との協議により、高速道路の利用、入場時間の変更、土曜出勤回数の削減、運賃の見直しなどを進め、月の時間外労働を80時間以下、総拘束時間を284時間以内まで削減した。長時間労働の是正には、運送会社内の対応だけでなく、発着荷主との運行条件見直しが必要になる実態も示された。
重大・悪質な法令違反による送検は自動車運転者全体で67件。このうちトラックは53件で、前年の42件から増加した。送検事例には、過去に複数回の是正勧告を受けながら、トラック運転者に月最大167時間の違法な時間外労働を行わせていたケースや、固定残業代4万5000円のみを支給し、本来11万円必要だった割増賃金を支払わなかったケースが含まれる。
厚労省は荷主側への働きかけも続けている。22年12月に設置した「荷主特別対策チーム」を通じ、恒常的な長時間の荷待ちを発生させないことや、運送発注担当者への改善基準告示の周知を発着荷主に要請。22年12月から26年6月までに、労基署が要請を行った発着荷主などは3万1404事業場に達した。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。
LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com
LOGISTICS TODAYでは、メール会員向けに、朝刊(平日7時)・夕刊(16時)のニュースメールを配信しています。業界の最新動向に加え、物流に関わる方に役立つイベントや注目のサービス情報もお届けします。
ご登録は無料です。確かな情報を、日々の業務にぜひお役立てください。


























