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同盟運賃見直しに「日本の先行、適切でない」

海事センター、外航の独禁法適用除外制度で報告書公表

2016年6月15日 (水)

ロジスティクス日本海事センターは14日、同センターの海運問題研究会・海運経済問題委員会で検討した外航海運の独占禁止法適用除外制度のあり方を報告書にまとめ、公表した。国土交通省が同日、制度全体を維持しつつ、同盟運賃については「将来の見直し」の方向性を打ち出す検討結果を公表しており、同センターの報告書も同様の考えをまとめたものとなっている。

報告書ではまず、船社間協定の内容が統一運賃の設定を行う海運同盟から、非拘束的な運賃ガイドライン設定などを行う航路安定化協定やスペース・配船の調整を行うコンソーシアムへと軸足がシフトしていると、外航海運の船社間協定が変化してきている実態を押さえた上で、欧米の競争法適用除外制度に言及。

特に、欧州で運賃同盟に関する競争法適用除外を廃止した影響について、米国連邦海事委員会(FMC)による「EU規則4056/86(同盟規則)廃止により、運賃水準の低下などの効果は得られておらず、むしろ、運賃などの不安定化が生じたと考えられる」との分析を引用し、運賃同盟の廃止が運賃の不安定化につながったとの見方を示した。

また、2008年に欧州で同盟規則が廃止された後も「EUの動きに追随する国は見られず、競争法適用除外制度は今なお世界で広く維持されている」と指摘、同盟運賃の廃止が国際的な流れになっていないことを強調した。

さらに、国内の荷主、船社が「安定的・効率的な輸送サービスを維持する観点から、独占禁止法適用除外制度を維持することが適切」と考えていることを紹介し、「我が国のみが先行して適用除外制度の見直しを行うことは適切とは考えられない」と結論付けた。

現状では「外航海運関連の独占禁止法適用除外制度は今後も維持することが適切」との判断を示しつつ、今後については「諸外国で制度を見直す動きが支配的となった際は、我が国も制度見直しの検討を行うことが必要」として、将来的には制度を見直す必要性があるとの考えを示した。