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ヤマトHD、EC専用網縮小と営業所再編に着手

2026年9月24日 (木)

ロジスティクスヤマトホールディングス(HD)は24日、4月に就任した櫻井敏之社長の記者懇親会を開催した。ことし1月の社長就任会見で「聖域なき軌道修正」を掲げた櫻井氏は、足元の業績回復を最優先とし、「環境が結構変わってきているので、これまで我々が行ってきた投資も見直しをすべき」と述べ、事業運営の軌道修正を進めていることを明らかにした。

見直しの背景にあるのがEC(電子商取引)市場の動向だ。櫻井氏は、コロナ期に大幅な成長が見込まれていたEC市場について「インフレが一気に進んで、買い物自体もリアル店舗に戻っており、そこまで伸びていないのが実情」と指摘。これを受け、過剰に膨らんでいたEC専用ネットワークの一部を縮小し、既存の宅急便ネットワークへ集約する再編を進めており、「自社戦力を最大活用するのが最初にやらなければならないこと」と語った。

記者からは、この「聖域なき軌道修正」の代表例は、すでに決定している専用貨物航空機(フレイター)の運航終了か、との問いが投げられた。櫻井氏はこれに対して、「これは外に見えやすい例だが、単なるコストカットではない。外から見えにくい、構造的に変えていかなければならないことがたくさんある」と強調。具体的な構造改革として、全国に2700ある営業所と日々稼働する4万人のドライバーの運営について、地域ごとの物量変化に合わせて集配構造を根本から見直す方針を示した。データを用いて、駐車の回数も減らしながら、周辺の複数配送先を回る配達ルートを自動作成する仕組みを導入し、効率化を図るほか、「営業所の数も適正なサイズに変えていく」と語り、拠点の統廃合や用途見直しを積極的に進める構えだ。

▲ヤマトホールディングス社長の櫻井敏之氏

今後の成長戦略の軸となるのが、法人向け事業の拡大だ。櫻井氏は入社以来、国際物流や法人営業に長く携わり、シンガポールでの宅急便事業立ち上げで責任者を務めるなど、豊富な海外経験を持つ。自身のキャリアを生かし、今後は宅急便で培った法人顧客基盤を起点として、「顧客企業のサプライチェーン(SC)全体を支援するような事業を展開していく」と関与をより強めていく方針を示した。単に荷主企業の製品を運ぶだけでなく、「川上に登っていけば在庫管理の仕事があるし、在庫管理の手前には物を調達する物流の仕事がある」と述べ、調達などのSC上流領域にも深く関わっていく考えだ。

物流業界の人手不足や2024年問題への対応では、幹線輸送とラストマイルの双方で持続可能な体制づくりを進める。現在8割強を外部委託している拠点間の大型トラック輸送については、今後の担い手不足や運賃高騰を見据え、「自社化も含めてさまざまな検討をしている」と明かした。自社運行を強化する選択肢の一つとして外国人ドライバーの採用にも触れたが、「外国人ありきではない」と補足した。一方、街中で日々稼働するおよそ4万人のセールスドライバー(SD)については、「単に運転手だけではなく、セールスも行い、接客・接遇を行う社員」と位置付け、「仕事が続く限りは自社で雇用を一定程度維持する」と、強みの源泉として守る姿勢を強調した。

あわせて、長距離輸送における無人自動運転トラックへの対応も進めている。櫻井氏は自動運転の導入に向けて「有人から自動に積み替えるオペレーションが必ず発生する」とし、「オペレーションの標準化をいかに取り込むか」が重要になるとの認識を示した。

持続可能な物流の構築に向けては、過疎地域でほかの事業者が撤退を進める現状に触れ、「地方での配送で最後まで残るのは、おそらくヤマト」と述べ、地域の物流の担い手として配送機能を維持していく姿勢を強調した。さらに環境分野では、全国でおよそ5000-6000台のEVを導入したことで「エネルギーのマネジメント自体もかなりノウハウが溜まってきている」と語り、生協など外部企業への支援(外販)にもつながっていると自信を見せた。(土屋悟)

ヤマト会見Q&Aから浮かぶ「宅急便依存からの転換」

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