ロジスティクスヤマトホールディングス(HD)は22日、代表取締役と役員の異動を発表した。都内で行われた記者会見には、長尾裕社長と櫻井敏之新社長(現・ヤマト運輸常務執行役員)が登壇。質疑応答では、宅急便50周年という節目における経営フェーズの転換や、2024年問題への対応策について、新旧トップがそれぞれの決意を語った。

長尾社長は会見の冒頭、まずグループが現在置かれている状況について、これまで推し進めてきた「経営構造改革ならびに事業構造改革のさまざまなアクションを、収穫のフェーズに変えていくことが、現在の弊社グループにおける最大のテーマ」であると強調した。
現中期経営計画が最終年度を迎え、次期計画を策定する重要な節目にあるなかで、これまでの基盤整備を具体的な企業価値向上へと結びつける時期に来ていると発言。また、取り巻く環境についても「激変する市場環境下」と表現し、変化の激しい時代において改革の実行力をさらに高める必要性を示した。

▲ヤマトHD現社長の長尾裕氏
このような状況を踏まえ、次期社長に内定した櫻井敏之氏を、「客観的事実に基づいて合理的判断を行う決断力、そして現場の課題を俯瞰して自らの視点で戦略課題の設定をし、解決に向かう実行力を示してきた人物」と、その経営手腕を高く評価し「その類まれな実行力と幅広い知見に基づいたリーダーシップに強く期待すると語った」。さらに、櫻井氏が海外事業やITデジタル、法人営業など多岐にわたる事業経験を有していることから、「これまでの蓄積を生かし、ヤマトグループをけん引するものと確信をしている」と断言した。
また、新旧交代にあたっての極めて象徴的な期待として、長尾社長は「私の代で何かいろいろやったことを遠慮なく否定をしてほしい」と櫻井氏に直接伝えたことを明かした。「それができる人じゃないと次の社長は務まらない」と語り、過去の成功体験や前任者の施策に縛られることなく、ヤマトグループが真にやるべきことを実行・完結させることへの期待を述べた。自らは会長職として「櫻井新社長を全面的に支援をし、執行の監督を担う立場として企業価値の向上に貢献をしていく」と述べ、新体制を背後から支える決意を示して発言を締めくくった。
櫻井氏は、1998年の入社以来、現場や海外、経営戦略など多岐にわたる部門で培った経験を背景に、次期社長としての決意を語った 。直近では宅急便事業の責任者として第一線の現場に向き合ってきた同氏は、「現場力の向上こそが顧客の利便性を生み、収益の源泉になる」と断言し、変革の現場で磨いてきた「稼ぐ力」をグループ経営に昇華させる意気込みを見せた。

▲櫻井敏之新社長(現・ヤマト運輸常務執行役員)
櫻井氏は、長尾体制下で進められた経営構造改革によって「次の成長への土台は整った」と評価した上で、経営フェーズを「実行から収穫へ」とシフトさせると宣言。同氏が掲げる至上命題は、ヤマトグループを持続的な成長軌道に乗せることであり、そのためには「必要に応じて聖域なき軌道修正も行っていく」という強い覚悟を示した。具体的には、付加価値に見合った適正なプライシング戦略を徹底して収益性を改善するとともに、50周年を迎えた宅急便事業の顧客基盤を武器に、コントラクトロジスティクスやグローバル事業といった成長領域へ経営資源を大胆に投入していくと語った。
また、櫻井氏は「人的資本経営」を経営の根幹に据える姿勢を鮮明にした。グループ18万人の社員を「磨けば光る無限のタレント」を秘めた最大の資本と捉え、志ある社員が学び、飛躍できる舞台を整えることで、「全員経営」による価値創造企業への進化を目指す。
長尾社長は、櫻井氏とヤマト運輸の阿波誠一社長との関係性について、両者に共通する「リーダーシップ」と「誠実な人柄」を高く評価。この1年間、両者が密なコミュニケーションを取りながら経営を進める光景を非常に頼もしく感じてきたと明かし、新体制においても2人がしっかりとタッグを組み、そのチームワークを新しい経営陣全体へと波及させていくことを強く期待すると述べた。
これに対し櫻井氏は、阿波氏との役割分担について、それぞれの経歴に基づく専門性の違いを生かした補完関係を築く意向を示した。阿波氏が宅急便の現場における豊富な知見と長い経験を持つのに対し、自身はコントラクトロジスティクス、グローバルといった、グループが今後注力すべき成長領域に強みがあるとする。櫻井氏は、これらの事業をバラバラに進めるのではなく、阿波氏が守る宅急便の強固な顧客基盤を成長領域でも戦略的に活用するなど、両者が絶えず対話を重ねることで、グループ一体となった経営を推進していく考えだ。(土屋悟)
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