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物流DX未来会議、改革の順番と伴走力を議論

2026年9月30日 (水)

イベント東京ビッグサイト(東京都江東区)で9月30日に開幕した展示会「物流DX EXPO」において、「物流DX未来会議 AFTER ACTION IN TOKYO」が開催された。10月2日までの3日間にわたる会期中、全12セッションが行われる。本誌LOGISTICS TODAYも企画協力に加わり、初日には編集局の鶴岡昇平副局長がモデレーターを務めた2つのセッションで、物流改革を実行に移すための投資判断と、CLO(物流統括管理者)時代に物流会社が担う役割を議論した。

「物流DX優先順位会議――5000万円の予算、あなたなら最初に何を選ぶ?」には、タクテック社長の山崎整氏、ロジクロス・コミュニケーション社長の吉村武久氏、ロジスティードのエンジニアリングイノベーション本部ソリューション開発部部長補佐、藤波翔平氏が登壇した。

▲(左から)吉村氏と山崎氏

このセッションでは会場参加者がメーカーのCLOとなり、WMS(倉庫管理システム)刷新、マテハン導入、データ可視化、倉庫環境改善、コンサル・プロジェクト構築費などから5000万円の優先的な投資先を選ぶ形式で議論。山崎氏は、レガシー化したWMSを残したままではマテハンやデータ活用も進めにくいとして、まずWMS刷新を起点に据えた。一方、吉村氏は経営課題を俯瞰し、KPIを定めたうえでデータ可視化につなげることを重視。藤波氏からも、現場の人員不足や事業継続性を踏まえ、何を変えるのかを先に定め、将来顕在化する課題まで見据えて投資方針を組み立てるプロジェクト構築の必要性が示された。

さらに、「3年後に国内拠点を統合し、新設メガセンターへ移転する」という条件が加わると、会場の想定する優先順位、登壇者の判断も大きく動いた。現在のセンターだけを最適化するのか、将来の統合後を見据えて今から経験や仕組みを蓄積するのかで、投資判断そのものが変わることを体感させる構成となった。

登壇者からは、個別施策を切り離して考えるのではなく、将来の事業戦略、人件費、業務設計まで含めて投資を組み立てるべきとの指摘も出た。吉村氏は単純な回収期間だけでなく、NPV(現在価値)やIRR(内部収益率)、企業価値への影響まで踏まえる視点を提示。外部のコンサルティングや3PLを活用する場合も、意思決定そのものを委ねるのではなく、自社側が課題、リスク、進捗を管理し、ノウハウを蓄積することの重要性が共有された。投資開始時に継続・撤退基準を持つ必要性も示され、DXは「何を導入するか」以上に「何を、いつ、なぜ選ぶか」が問われる経営判断であることが浮き彫りとなった。

▲藤波氏(右)と、鶴岡副局長

続く「物流機能再構築の最前線とCLO時代の戦略転換」では、セイノーホールディングス専務執行役員オープンイノベーション推進室室長兼事業推進部ラストワンマイル推進チーム担当であり、セイノーラストワンマイル社長の河合秀治氏が登壇した。

河合氏は、物流会社も「安い見積もり、早い見積もり」を提示するだけではなく、サプライチェーン上流まで入り込み、どこに無駄な物流や在庫移動、情報の断絶があるのかをデータで捉える役割へ変わる必要があると指摘。荷主側でCLOが受発注から下流まで全体最適を担う一方、単独でネットワークや改善策を描き切ることは難しく、3PLや物流会社には実行を支えるパートナーとしての機能が求められるとした。

具体例として、荷主、メーカー、卸、物流会社などがJV(共同事業)を通じてコスト構造や物流情報を共有し、調達からラストワンマイルまでを横断して最適化する取り組みを紹介。委託・受託関係では開示しにくい情報まで共有し、案件ごとに最適な物流会社を選ぶ考え方や、鳥取・島根で福山通運と進める共同・混合配送にも触れた。

さらに河合氏は、すべての機能を自社だけで抱えるのではなく、外部企業との連携によって提供価値を広げる方向性を示した。セイノーホールディングスはAZ-COM丸和ホールディングスとも業務提携し、セイノー側と丸和側の強みを補完しながら、輸送単体ではなく荷主のバリューチェーン全体への価値提供を目指している。物流ネットワークや経営資源を相互活用することで、業界横断で新たな物流サービスをつくる考えだ。

こうした連携の背景には、CLO時代に荷主から求められる提案領域そのものが広がっていることがある。物流会社側も、自社機能だけですべてを解決するのではなく、同業他社やスタートアップなどと組みながら、サプライチェーン全体の改善を伴走する存在へどう進化するかが問われている。

▲河合氏

なお、物流改革の「最初の一手」と、それを実行まで支えるパートナーのあり方を議論した初日に続き、10月1日、2日は本誌の赤澤裕介編集長がモデレーターとして登壇する。1日はロジザードの金澤茂則社長と、企業間で輸送力を共有する仕組みやユニットロード輸送など、フィジカルインターネット実現に向けた実装を議論。流通経済大学の矢野裕児教授とは、総合物流施策大綱を起点に今後のサプライチェーン変革を読み解く。

さらに2日は「有事を勝ち抜くグローバルSCM〜縦割りを脱却し、国際物流戦略を利益の源泉へ〜」を開催。経済産業省の板橋洋平氏、日本貿易DX協会代表理事でShippioのCEO佐藤孝徳氏とともに、地政学リスクなど不確実性が増すなか、国際物流を単なる輸送管理から経営戦略へどう引き上げるかを掘り下げる。また、Sustainable Shared Transportの高野茂幸社長、Nexgen JapanのCEO大野有生氏とのセッションでは、それぞれ共同物流の実践、物流AIについて議論を深める。初日の国内物流DXやCLOをめぐる議論から、企業間連携、政策、グローバルSCM、AIへと論点を広げながら、物流改革を「実行」に移すための議論が続く。

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