ロジスティクス全日本トラック協会は15日、広島県福山市で第31回全国トラック運送事業者大会を開催した。会場には、全国各地から1100人余りの会員事業者が集まった。

▲第31回全国トラック運送事業者大会の様子
開会にあたり、全日本トラック協会会長の寺岡洋一氏が挨拶で、各地で相次ぐ豪雨災害などの自然災害に言及。熊本での震災については、「前回の震災では、全国から支援物資が届いてもさばききれない局面もあったが、今回は物流事業者が物資受け入れを担当することで、初動から迅速な対応が可能になった」と指摘。「今一度災害対策をしっかりと見直して、災害に対してどういった支援ができるのか、制度設計していかなくてはならない」と述べた。

▲全日本トラック協会会長の寺岡洋一氏
また、業界を取り巻く「トラック適正化二法」や事業許可更新制度、適正原価有識者検討会議の動向に触れ、「長い歴史の中で我々の業界が立ち直り、景色を変えていく上で最初で最後のチャンスだと思っている。全国の会員事業者からの要望や意見を出してほしい」と呼びかけ、荷主団体などとも対話を重ねながら、会員事業者が納得し国民生活や経済活動を支え続ける制度設計を目指す考えを強調した。

▲中国トラック協会会長の小丸成洋氏
続いて、開催地である中国ブロックを代表し、中国トラック協会と広島県トラック協会の会長を務める福山通運社長の小丸成洋氏が挨拶した。小丸氏は、「自社の創業地である福山の地に皆様を迎え、業界の将来について共に考える機会を得られたことは格別の喜びである」と会場の面々を歓迎。そのうえで、2030年に国内の輸送能力が3割程度不足するとの見通しやコスト高騰などの諸課題に触れ、「我々事業者は、それぞれの経営基盤を強化するとともに、荷主や関係行政機関と協働しながら、物流の持続性を高めていくことが重要だ」と訴えた。

▲日本サイバー犯罪対策センター業務執行理事の桜沢健一氏
続く講演では、日本サイバー犯罪対策センター業務執行理事の桜沢健一氏が「サイバー空間の脅威の情勢と対策について ~官民学連携の現場から~」、小泉・安倍内閣の政策ブレーンを務めた元大蔵・財務官僚の数量政策学者、高橋洋一氏が「日本経済の現状とこれから」と題する講演で登壇。桜沢氏は「自社もサイバー攻撃にさらされる可能性があるという前提で、心構え、準備することが重要」と提言。高橋氏は、自身が国土交通省の井林辰憲大臣と議論したことが、1週間ほどで検討会設置に至ったことがあることを紹介し、「井林大臣は元国土交通省技官で、技術的な事柄についても、行政の現場でどのように話を進めればいいのかも熟知し、スピード感もある。業界からの提言を積極的に行うことで、実効性のある制度作りが進むはずだ」と語った。

▲数量政策学者の高橋洋一氏
また、トラック運送において優れた功績を挙げた個人や事業者を称える「鈴木賞」の贈呈式が行われた。今年度は、石田運輸商会(秋田県大館市)が受賞した。同社は、自社オリジナルのAIを用いた運行管理システムを構築し、高齢運転手の状況把握や業務の最適化を図った。同社社長の石田芳行氏は「AIは人に代わるものではなく、人の経験や判断を支え、知恵を次世代につなぐものだ」と述べ、人を大切にする運行管理の重要性を語った。

▲鈴木賞の賞状と目録が寺岡会長から石田運輸商会社長の石田芳行氏に贈られた
大会の総意としては、中国ブロック青年部協議会の柏原宏輝会長が「適正原価制度及び許可更新制度に適切な対応を図ろう」「荷主への価格転嫁を図り適正な運賃及び料金の収受を実現しよう」など8項目の決議を読み上げ、採択された。

▲国土交通省物流・自動車局長の舟本浩氏

▲中国ブロック青年部協議会の柏原宏輝会長
来賓挨拶では、国土交通省物流・自動車局長の舟本浩氏、広島県知事の横田美香氏などが登壇。舟本局長は、「適正原価制度および許可更新制度の具体化に向けた検討を進める」との考えを表明し、トラック運送業が持続可能な役割を発揮できる環境整備への意欲を示した。

▲山口県トラック協会会長の国広和之氏の発声による「がんばろうコール」
全体会議の最後には、山口県トラック協会会長の国広和之氏の発声による「がんばろうコール」が行われた。続いて、岡山県トラック協会の原田和充会長が閉会挨拶を行い、盛況のうちに幕を閉じた。次回の第32回大会は、2027年の10月に東北ブロックの青森市で開催される。
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