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運輸安全委、11年7月の神戸港貨物船作業員死亡事故で報告書

パイプ荷崩れの原因「固縛・歯止め施さなかった」

2014年9月3日 (水)

調査・データ運輸安全委員会はこのほど、神戸港ポートアイランド北ふ頭外貿岸壁Rで2011年07月17日に発生した、貨物船「YUSHO SEVEN」の作業員が死亡事故に関する報告書を公表した。

この事故は、貨物船がポートアイランド北ふ頭外貿岸壁Rでパイプなどの積荷役中、同日午後3時45分ごろに1番貨物倉下甲板の右舷側に積み上げたパイプが荷崩れし、パイプ上にいた作業員がパイプとともに同甲板上に転落して死亡したもの。

運輸安全委は事故原因について、「A船が阪神港神戸区の岸壁でパイプなどの荷役中、5-7段目のパイプを含む梱包パイプが船横方向に滑り出したため、6段目の梱包パイプに上がっていた固縛作業員が梱包パイプとともに下甲板に転落し、体の上に梱包パイプが落下したことで発生したもの」との調査結果をまとめた。

また、梱包パイプが船横方向に滑り出したのは、「荷役作業員C、荷役作業員Dが右舷側壁とパイプの間にターンバックルを使用して隙間を作るために動かしたこと」「B船からA船の船尾側のクレーンでコイルを吊り上げてA船が左舷側に2.8度傾斜したこと」「5段目からは梱包パイプであり、段差が若干であることから、船首側、中央、船尾側にダンネージを各1本敷くのみとし、高さが調整されていなかったこと」「右舷側にパイプを積み上げた後、固縛、歯止めをすることにしており、パイプの固縛を行っていなかったこと」「歯止めが施されていなかったこと」によるものと指摘した。

荷役作業員CとDが、右舷側壁とパイプの間にターンバックルを使用して隙間を作ろうとした理由については「フォークリフトの爪先でパイプを押し込んだ際、側壁に立て掛けたダンネージの長さが足りず、パイプと側壁とが接し、側壁に溶接されたアイプレートに通したパイプの固縛用ワイヤロープが取り出せない状態となり、1番貨物倉責任者は、パイプ固縛用ワイヤロープが取り出せないことを(死亡した)固縛作業員から聞き、隙間を作ってパイプ固縛用ワイヤロープを取り出そうと思い、荷役作業員C、Dに対し、パイプが動くか試すように指示を行ったことによるもの」との見方を示した。