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事故調、石炭荷役死亡事故で安全管理不足を指摘

2020年6月26日 (金)

事件・事故事故調査委員会はこのほど、2019年1月17日の深夜に発生した貨物船「ISHIZUCHI」内の死亡事故について、事故調査報告書をとりまとめて公表した。

▲貨物船「ISHIZUCHI」

この事故は、新居浜港で石炭の揚げ荷役作業中に、男性作業員(22歳)が船倉内でブルドーザーにひかれて死亡したもの。荷主会社と貨物運送契約を結んだ浜栄港運(愛媛県新居浜市)ほか1社が荷役作業を行っていた。

死亡した作業員は、壁面の溝に残る石炭をかき落とすのに使用される「かき棒」を持って移動していたところ、船倉中央部に石炭を押し集める作業にあたっていたブルドーザーが同作業員に気づかず後進したため、同車両と衝突。多発外傷による即死だったとみられている。

(出所:事故調査委員会)

事故調では、死亡した作業員とブルドーザーの運転者から合図がなく、甲板上で作業を指揮するデッキマンが両者の位置関係に気づいていなかったこと、また、石炭をかき落とす作業員(落とし子)の位置や動静に応じてブルドーザーを直ちに停止できる体制になっていなかったこと――が事故の発生に関与したものと結論付けた。

▲船倉内の様子

事故後、浜栄港運では再発防止策として(1)落とし子は笛でブルドーザーに合図し、車両を停止させてから移動すること(2)ブルドーザーの運転手は笛の合図を認めたら車両を停止し、落とし子の位置を確認すること(3)落とし子はブルドーザーが側壁近くで作業中に、側壁と車両の間に立ち入らないこと(4)落とし子はデッキマンとブルドーザーの運転者に居場所がわかるよう発光式ベストを着用すること――を周知徹底する措置を講じた。

事故調では、デッキマン1人で作業監視するのが困難である場合には別に監視役もしくはブルドーザーの誘導役を配置させること、各作業員に無線機を所持させること、ブルドーザーに作業員の接近を検知し警報する設備を追加すること――などを、今後の再発防止策に役立つ項目として挙げている。