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新日鉄と日本郵船、原油タンカー用高耐食性厚鋼板が市村産業賞受賞

2011年4月20日 (水)

認証・表彰新日本製鉄と日本郵船は20日、両社が世界で初めて開発・実用化した原油タンカー用高耐食性厚鋼板「NSGP-1」が、新技術開発財団から第43回市村産業賞貢献賞を受賞したと発表した。市村産業賞は、日本の産業の発展に貢献・功績のあった国産技術の開発者を表彰する賞。

 

受賞テーマは「地球環境にやさしい原油タンカー用高耐食性鋼板の開発」で、新日鉄技術開発本部厚板鋼管形鋼研究部の加藤謙治主幹研究員、新日鉄厚板営業部の西村誠二マネジャー、日本郵船LNGグループの佐藤秀彦チーム長が受賞した。

 

新日鉄は、深い孔食が発生するメカニズムが、原油に含まれる高塩分濃度と強酸性の塩水による腐食であることを解明し、鋼材に添加する合金の種類と量の最適な成分設計とナノメートル1オーダーでの鋼材表面の制御技術により、極めて厳しい環境下でも優れた耐食性を発揮する新鋼材NSGP-1を開発した。

 

両社は、NSGP-1を日本郵船のVLCC(超大型原油タンカー)のタンク底面に実船適用し、効果を実証。従来は点検の度に数千か所もの補修が必要だったが、NSGP-1を使用したタンカーでは補修か所ゼロを実現。日本郵船は、この実船適用の結果を受け、すべての新造原油タンカーにNSGP-1を採用する方針を決定し、2007年以降現在までにNSGP-1を1万5000トン以上(VLCC10隻分に相当)使用してきた。

 

NSGP-1の有効性は国際的にも認識されており、昨年原油タンカータンクの腐食防止措置に関するSOLAS条約2の改正で、耐食鋼が有効な耐食技術として規定された。このルール化では、NSGP-1の実船での優れた適用実績が先導的な役割を果たした。