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1-3月のトラック景況感、震災と原発事故で24ポイント悪化

2011年5月11日 (水)

調査・データ全日本トラック協会は10日、1-3月期のトラック運送業界の景況感(速報)をまとめ、公表した。3月11日に発生した東日本大震災と福島第一原発事故により、業界の景況感は▲59となり、前回調査時の▲35から24ポイントと大幅に悪化した。

 

宅配を含む特積貨物は比較的底堅かったが、一般貨物の悪化が大きく響いた。指標は全国的に悪化したが、特に東北は、岩手、宮城、福島県の全域と青森県八戸市の事業者を対象外としたにもかかわらず、64ポイントの悪化。対象外地域を含む実勢は、さらに悪化しているものとみられる。一方、近畿と四国は相対的に下げ幅が小さかった。

 

4-6月期の見通しは、電力の使用自粛が続くことから、判断指標は今期よりも29ポイント悪化し▲88となる見込み。

 

一般貨物は、輸送数量を「減少」と回答した事業者が44%、「増加」とした事業者が20%で、判断指標は▲28となり、前回(▲12)から16ポイント悪化した。営業収入は「減少」が45%、「増加」が21%で判断指標は▲32となり、前回(▲14)から18ポイント悪化した。営業利益は「減少」50%、「増加」16%で▲44となり、前回(▲29)から15ポイント悪化した。

 

運賃水準は、宅配貨物は▲37(前回▲38)、宅配以外の特積貨物は▲25(前回▲30)、一般貨物は▲24(前回▲20)で、ほぼ横ばい。

 

実働率は▲22(前回▲8)、実車率は▲18(前回▲7)で、ともに水準を下げた。雇用状況(人手の過不足)は、大きな過剰感はないものの指標が下がり、▲6(前回プラス5)となった。

 

採用状況は▲8(前回▲9)でほぼ横ばい、所定外労働時間の指標は▲12でやや水準を下げている(前回▲4)。

 

保有車両台数は▲9(前回▲15)でやや水準を上げた。貨物の再委託(下請運送会社への委託割合)は▲19(前回▲15)で、わずかに水準を下げた。

 

主な取扱い品目別では、機械関連貨物が前回から51ポイント悪化して、最も水準が低い。建設関連貨物、消費関連貨物も悪化した。

 

さらなる悪化が見込まれる4-6月期は、特積貨物も例外ではなくなる。宅配が輸送数量、営業収入、営業利益とも25ポイントを超える悪化となるほか、宅配以外の特積貨物も輸送数量、営業収入、営業利益とも20ポイントを超える悪化となる見通し。一般貨物も、輸送数量、営業収入、営業利益とも20ポイントを超える悪化となる。

 

地域別にみると、東北に加え中部も大幅悪化となる。特に中部は見通しの下げ幅が顕著で、関東、中国も厳しい見込み。

 

事業者の規模別では、中規模事業者の水準が特に低く、大規模事業者でも下げ幅が拡大する。主な取扱い品目別では、機械関連貨物が今回よりもさらに水準を下げ、大幅減少となる見込み。建設関連貨物は悪化幅が相対的に小さいとみられる。