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防衛省、「PBL」導入へガイドライン策定、ロジスティクスに新たな契約形態

2011年8月15日 (月)

行政・団体防衛省はこのほど、物品やサービスを調達する際の契約形態として、これまでの単年度契約や個数、工数などに基づく形態を部分的に見直し、可動率の維持・向上、修理時間の短縮、安定在庫の確保など、提供されたサービスの成果に主眼を置いて包括的な長期契約を結ぶ「PBL」(パフォーマンス・ベースド・ロジスティクス)を導入するためのガイドラインを策定した。

 

PBLは、維持整備の作業量に応じて対価を付与するのではなく、運用のパフォーマンスの達成に対して対価を付与する形態として、米国や英国が導入している契約形態で、ガイドラインでは日本で初めてPBLを定義するとともに、導入に向けた課題を整理した。装備品などの稼働率をより低コスト・高水準で維持する目的で、今年度から2015年度までを対象とする現中期防衛力整備計画(中期防)の期間内に導入する方針。

 

従来は「作業量に応じた対価の支払い」を契約内容としていたのに対し、PBLでは「パフォーマンスに応じた対価の支払い」であり、官民の関係も「顧客と契約相手」から「目的や情報を共有するパートナー」に変化する。導入に向け、防衛省では契約形態を「リードタイム保証」「在庫保証」「可用性保証」「任務保証」の4段階に分類。レベルが進むほど委託作業範囲と委託対象物品が拡大し、民の責任範囲が拡大する。

 

ガイドラインでは、PBLを「役務の提供などにより得られる成果に主眼を置いて包括的な業務範囲に対し長期的な契約を結ぶもの」と定義し、具体的には「官民間の合意により業務評価指標(KPI)や目標値を設定し、契約相手方にその目標を達成するために用いる手法で裁量を与えるもの」と説明している。

 

また、目標を達成した場合には、報奨金や契約延長などのインセンティブを与えることにより、契約相手方の自主的な改善・効率化活動を促し、「民間企業で実績のあるSCMや成果管理手法の適用を進め、品質を維持・向上させつつ長期的なコスト低減を図ることを目指す」としている。

 

防衛分野で導入が進めば、これをモデルケースとして荷主と3PL企業間でも「3PLをさらに発展させる契約形態」として、普及する可能性がある。