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【年頭所感】根本的に見直し、考え抜く[川崎汽船]

2012年1月4日 (水)

話題川崎汽船の朝倉次郎社長による年頭所感(要旨)は次の通り。

 

■「事業運営根本的に見直し、考え抜く」
今年は間違いなく守りの年。まずは鉄壁のディフェンスラインを引いて、決して失点をしないことが大事だ。2004年からの五年間は攻撃重視型の戦略を取ったが、これからの数年間は生き残るために、徹底した守りを貫き、次の上昇サイクルを待つ時期だと認識している。

 

我々の努力では解決できない、超円高と燃料油高騰問題も抱えながらの厳しい事業環境から、新たな経営のスタートをきるために、各部門は経営とともに「判断力」と「実行力」を試されることになる。将来を見据えて、事業運営を根本的に見直し、考え抜くことが今年のテーマだ。

 

コンテナ船部門では、更なる聖域なき構造改革に取り組み、早期に赤字からの脱却をはかることが求められている。ドライバルク部門では、当社グループの高品質かつ競争力ある船隊を、世界の市場に売り込むことに一段と磨きをかけて欲しい。自動車船部門では、主力の日本からの輸出環境に、超円高による構造的な変化が起きつつあるが、世界的な自動車販売は、新興国中心に今後も堅調な伸張が予想される。このような需給環境の下で、自動車専用船のパイオニアとして、専門性を十二分に活かし、航路の改編や建機・機械などの輸送も強化し、収益性の向上に取り組んでほしい。

 

エネルギー資源輸送部門では、油槽船は、新造船供給圧力が強く、市況回復には相当の時間を要する見込みであり、縮小均衡の方針をとらざるをえないが、一方でLNG船では中期契約獲得により、安定的な収益が確実に期待される。オフショア支援船も昨年までの努力が結実し、一流傭船者より当社グループの地位が認められ、相次いで契約を締結することができたので、今年は更なる安定化を求めていく。

 

重量物輸送部門では、昨年6月に、ドイツのSAL社を完全子会社化した。この事業に取り組む組織も完成したので、市況の回復を確実に取り込んでいけるものと考える。物流事業部門では、グループの陣容拡大によって、成長するアジアの物流事業を取り込むことが重要な課題であると認識している。

 

そして、これら諸事業が、環境に与える負荷に対して、国際社会の一員として、環境保全対策を推進することは、企業存続の絶対条件。一昨年、川崎重工とノルウェー船級協会とともに立ち上げたLNG燃料船開発プロジェクトチームは、世界最先端の技術開発という具体的な挑戦計画を昨年発表した。その実現に向けてはいくつもの超えなければならないバリアがあるが、これに果敢に挑戦することによって、Kラインスピリットを取り戻すことができると確信している。