話題韓国の海運会社でコンテナ船社としては世界8位の韓進海運の経営破綻が明らかになったことを受け、物流への影響が出始めた。
日本の海運大手3社は2017年4月にスタートする予定の「ザ・アライアンス」で韓進海運との協調配船を行うことになっており、新アライアンスへの影響が懸念されるほか、南北航路やアジア域内航路で協業している航路では、代替船の案内など顧客への対応に追われている。
韓進海運は現在、日本の会社更生法にあたる法的管理を申請し、すべての支配下船舶の運航を停止している状態にある。同社は世界で103隻(15年末時点、日本郵船調査グループ集計)のコンテナ船を運航し、船腹は63万3807TEUで世界シェア3.2%で8位。
海運業界は12年以来、船腹の増加率がコンテナ荷動きの増加率を上回る状態が続くなど、市況の低迷が長期化している。
国内大手3社も財務的に厳しい状況が継続しており、韓進海運の経営破綻を受け、コンテナ船で国内トップの商船三井(57万4667TEU、世界シェア2.9%)は、LOGISTICS TODAYの取材に対し「現在は(韓進海運と)異なるアライアンスに属しているため、東西航路で実務面の影響は出ていないが、南北航路やアジア域内航路では韓進海運がオペレーションしている協調航路もあり、顧客への影響を最小限に食い止めることに全力を挙げている」(商船三井広報室)という。
日本郵船も「まずは顧客への対応に全力で取り組んでいる」が、影響の度合いについては「所属アライアンスが異なるため、一部航路で協業していても現時点では(影響は)限定的だとみている」(日本郵船広報CSRグループ)とコメントした。
17年4月にスタートすることになっている新アライアンスは韓進海運のほか、商船三井、日本郵船、川崎汽船の国内海運大手3社と、台湾の陽明海運、UASCとの合併契約を結んだ独ハパックロイド――の合わせて6社で設立する方針だ。
韓進海運の経営破綻が大きな影響を及ぼすことが懸念されるものの、日本郵船は「(韓進海運が経営破綻したという)状況は把握しているが、来年4月までまだ時間があることから、影響は限定的なものになるのではないか」、商船三井も「これから検討していくことになるが、来年4月までまだ日がある」と回答し、発足までに十分対応できるとの見方を示した。
海運アライアンスは、1社単独で世界中の航路を維持するのが厳しく、安定運営を図るための枠組みだが、韓進海運が「抜けた穴」については現時点で見えていない部分が少なくない。トランシップ港(積替港)としての側面が大きい釜山港では、韓進海運が新アライアンスから脱落する事態になれば、トランシップ機能が周辺国の港湾に役割が移転していく可能性も考えられよう。