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韓国港湾のトランシップ機能劣化鮮明、ゼポ・データマイン調べ

欧州・中国勢躍進、9月米国向けコンテナ船社間シェア

2016年10月14日 (金)

話題米国ゼポ・データマインが公表したアジア発米国向けコンテナ輸送実績によると、8月末に韓国・韓進海運が経営破綻した影響で、9月単月の輸送量が昨年9月の実績を2.4%下回る125.9万TEUに減少したことがわかった。1月からの累計は1087.4万TEUで前年同期実績を1.8%上回っているが、やや減速した。

■韓国港湾のトランシップ機能が急速に劣化、「日本→韓国TS→米国」は前年の3分の2に

9月単月の東航輸送量を見ると、韓国発の輸送量は前年同月比3.7%増の3位となった。1位の中国は4.3%減、2位はベトナムで8.4%増、日本は2.8%減で5位となった。ただ、韓国発のコンテナに占めるトランシップ(積み替え)分の割合は大幅に減少。

順位国・地域9月TEU前年比(%)前月比(%)TEUシエア(%)1-9月TEU前年比(%)
1中国790,257-3.7-7.363.36,642,4271.7
2韓国112,421-7.8-9.08.91,103,1072.9
3台湾73,902-5.6-13.05.9694,9414.3
4香港63,589-12.5-10.45.1578,665-11.1
5シンガポール58,857-8.12.54.7557,084-9.7
6ベトナム46,70643.6-4.33.7363,70036.9
7日本41,5203.1-13.43.3388,6152.1
8インド27,7324.30.62.2239,0143.8
9タイ24,09436.8-2.71.9186,60324.3
10マレーシア12,95644.3-7.61.0119,655-2.6
10か国・地域発合計1,259,027-2.4-7.4100.010,873,8111.8

特に日本から韓国で積み替えて米国へ向かうコンテナが前年同月比33.4%減と大幅に減少したほか、中国から韓国経由が17.2%減、ベトナム発韓国経由が14.4%減、インドネシア発韓国経由が12.6%減と、韓国港湾のトランシップ機能が急速に劣化している状況を示した。

日本の港湾で韓国を経由するコンテナの割合は、最多の博多港が18.9%減となったほか、横浜港19.1%減、神戸港9.7%減、大阪港54.8%減、志布志港6.1%減、名古屋港66.1%減――など、軒並み減少した。

順位荷受港9月TEU前年比(%)前月比(%)TEUシェア(%)
1博多1,302-18.911.524.3
2横浜663-19.1-36.712.4
3神戸617-9.7-36.911.5
4大阪380-54.8-40.27.1
5志布志293-6.149.55.5
6名古屋283-66.1-55.65.3
7広島252-5.3-23.64.7
8水島210150.036.83.9
9東京205-69.5-47.53.8
10徳山121-26.7-31.32.3
他港合計1,042-41.3-26.219.4
日本発韓国TS合計5,368-33.4-24.6100.0

仕向港別では、ロングビーチ、ニューヨーク・ニュージャージーの2港向けが大きな影響を受けた。特に米ロングビーチ港向けの輸送量は19.4%減(前月比12.8%減)と大きく落ち込み、ニューヨーク・ニュージャージー港も13.3%減(同15.2%減)となった。

1-9月累計の国・地域別統計は、中国発(前年同月比3.7%減)、韓国発(7.8%減)、台湾発(5.6%減)、香港発(12.5%減)、シンガポール発(8.1%減)の上位5か国発がそろってシェアを大幅に落とした一方、6位のベトナム発が43.6%増と飛躍的な伸びを示した。日本発は7位で3.1%増。

■船社間シェア、韓進海運急落しマースク・COSCOなど躍進、日本勢は小幅アップ、韓進急落のシェア欧州・中国勢が吸収

コンテナ船社間のシェアにも変化が見られた。韓進海運の9月単月シェアは前年同期の3位(シェア7.7%)から13位(4.2%)へと急減。代わって中国・COSCOが6位(6.6%)から2位(9.1%)へと2.6ポイントもの上げ幅を記録した。

順位船社名シェア(%)前年順位シェア(%)シェア増減(P)TEU増減
1エバーグリーン10.7110.00.75,659
2COSCO9.166.62.530,062
3マースク9.028.90.1-1,350
4CMA-CGM7.447.40.0-2,646
5MSC7.256.90.22,424
6APL6.385.80.55,399
7川崎汽船6.375.90.43,041
8OOCL5.895.20.66,122
9日本郵船5.4105.00.43,953
10現代商船5.1124.70.42,719
11商船三井5.0134.70.32,894
12陽明海運5.0114.90.1-936
13韓進海運4.237.7-3.5-45,605
14HAPAG-LLOYD4.2143.70.55,489
15Zim1.9151.80.1880
100.0100.0-31,455

また、西航(米国発アジア向け)はマースク(デンマーク)、MSC(スイス)、COSCOが躍進した。韓進海運のシェアが前年9月の4位(シェア7.7%)から15位(1.7%)へと東航よりも減少幅が拡大したのに対し、マースクは3位(7.8%)から1位(13.8%)、MSCが8位(5.8%)から2位(10.2%)、COSCOが14位(4.4%)から4位(8.2%)へとシェアを大幅に増やした。

順位船社名シェア(%)前年順位シェア(%)シェア増減(P)TEU増減
1マースク13.837.86.024,221
2MSC10.485.84.618,682
3CMS-CGM9.628.51.12,721
4COSCO8.2144.43.815,622
5日本郵船7.757.60.1-1,885
6川崎汽船7.476.21.23,383
7陽明海運7.1115.51.65,229
8エバーグリーン7.6110.1-3.1-16,168
9現代商船6.095.80.2-597
10HAPAG-LLOYD5.8135.00.82,175
11商船三井4.2125.4-1.2-6,964
12OOCL3.2105.6-2.4-12,179
13Zim2.6161.70.93,762
14APL2.566.8-4.3-20,737
15韓進海運1.747.7-6.0-28,483
100.0100.0-27,753

東航・西航ともに前年9月のシェアが1位だった台湾・エバーグリーンは、東航で0.7Pながらシェアを増やして1位(シェア10%)を守ったものの、西航はマースク、MSC、CMA‐CGM(仏)などに抜き去られ、8位(シェア10.1%)へと転落した。

韓進海運に次ぐ韓国の大手船社の現代商船は、東航で0.4P増やして前年9月の12位(シェア4.7%)から10位(5.1%)に、西航は0.2Pシェアを増やしたが順位は前年と同じ9位となり、韓進海運の落ち込み分を吸収できなかった。

日本勢は日本郵船が東航シェアを0.4P増やして10位(5%)から9位(5.4%)へと1つ順位を上げたものの、西航は7.6%から7.7%へと0.1P増にとどまり、順位は5位のまま。商船三井は東航が0.3Pアップで13位(4.7%)から11位(5%)、西航は1.2Pダウンとシェアを落としながらも順位は12位(5.4%)から11位(4.2%)へと1ランク上昇した。川崎汽船は東航が5.9%から6.3%へと0.4Pアップで7位のまま、西航が1.2Pアップの7.4%で6位と1つ上げた。