ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

住友金属鉱山、材料事業部門で3事業から撤退

2012年1月30日 (月)

産業・一般住友金属鉱山は30日、材料事業部門の事業構造転換に向けて、成長が見込まれる環境・エネルギー分野向け材料の拡大、強化を図る一方、将来の成長戦略を描けないボンディングワイヤー事業、タイでのリードフレーム生産、台湾でのサブトラクティブチップオンフィルム(COF)生産から撤退すると発表した。

 

今後、撤退事業に投下していた経営資源を電池材料やサファイア基板などの環境・エネルギー分野向けの材料事業などに振り向ける。

 

ボンディングワイヤーは、価格競争の激化から収益低下が著しく、金価格の高騰などを背景として市場構造が金線から銅線へ急速に移行しており、今後もこうした動きが加速するとみられている。同社では、銅線開発・量産化体制づくりを進めてきたが「将来の成長に向けた道筋が描ききれない」として、6月をメドに生産を終了し、同事業から撤退する。撤退に伴う関連損失として、約30億円が発生する見込み。

 

また、タイでのリードフレーム生産は、昨年10月に発生した大規模洪水で生産拠点の操業停止を余儀なくされた。同年11月末に水没が解消した後、生産再開に向けての復旧を検討していたが、冠水期間が1か月を超え、生産再開のためには長期の日数を要するとともに、他拠点で代替が可能との見通しが立ったことから、復旧・生産再開を行わず、同拠点から撤退することにした。大規模洪水による損害、撤退費用は、水没設備の簿価相当額を含め20億円程度を想定している。

 

グループ会社の台湾住鉱電子股フン有限公司で生産しているCOFは、主要な需要がより高精細なものへと移行しており、現状はサブトラクティブ・プロセスで可能な高精細品製造の限界を超える状況にあるという。今後、この方式で生産可能なCOFの需要はさらに縮小すると見込まれ、供給過剰による価格下落も著しいことから「サブトラクティブ・プロセス品種は、成長性・経済性が見込めない」と判断。6月をメドに生産を終了し、撤退することにした。

 

今後のCOF事業は、既に同社で稼動しているセミアディティブ・プロセスで生産する超高精細品種に集中する。撤退関連損失は約30億円となる見込み。