調査・データ東京商工リサーチは5日、全上場企業を対象とした「不適切な会計・経理の開示企業」の調査結果を公表した。開示企業は48社(2016年1-10月)と、調査開始以来の最多を記録した。
件数ベースでは49件となり、前年同期の43社・44件より5社(11.6%)増えた。この件数は調査を開始した08年以降の最多ペースで、このまま推移すると年間最多を記録した15年の52社・53件を上回る可能性が出てきた。
同社はこの結果について「背景には、監査体制の強化だけでなく、目標に向けた従業員への過度なノルマや実現可能性の低い経営計画の策定が不適切会計に走っている側面も否めない。さらに、適正会計に対するコンプライアンス意識の欠如もあり、不適切会計の開示企業は高止まりしている」と分析した。
業種別では、製造業が14社(構成比29.1%)・15件(同30.6%)で最も多く、次いで運輸・情報通信業の8社(16.6%)・8件(16.3%)、卸売業7社(14.5%)・7件(14.2%)、小売業の6社(12.5%)・6件(12.2%)と続く。
運輸・情報通信業では、会計処理の認識不足による費用計上の誤りが目立った。