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ニチガス、物流改革で費用の伸び抑え3Q大幅増益

2017年1月31日 (火)

荷主日本ガスの2016年4-12月期(第3四半期)決算は、ガス販売単価の低下によって売上が5.2%の減収(前年同期比)となったものの、「事業のクラウド化と物流改革」で販管費の伸びを抑える取り組みが継続したことにより、営業利益は24.6%増と前年同期に続いて大幅な伸びを示した。

同社の好業績を支えるのは、10立方メートルあたりの販売価格が5610円という家庭用LPガスの価格競争力だといわれる。全国平均の7579円を大幅に下回り、関東エリア平均との比較でも21%安い圧倒的な低価格と、販管費を長期的に抑えて業務効率を高めつつ、顧客満足の向上にもつなげる物流面の取り組みがうまく噛み合った結果だろう。

同社の公式サイトによると「新物流システム」は、プロパンガスの輸入基地に近い立地に365日稼働の大規模充てん工場(ハブ基地)を置き、そこから容器置き場を兼ねるトレーラーで関東各地の無人デポ基地へLPガスボンベを一括配送、さらに小型トラックに載せかえて顧客宅へ配達する仕組みとなっている。このエリアごとに完結されたネットワークをより広範なエリアへ展開するために、ハブ基地の大型化やデポ基地の増設を図っているわけだ。

物流効率に加え、保安業務の高度化をさらに後押しするのが、「雲の宇宙船」と名付けられたクラウド型の基幹業務システムで、プロパンガス利用者宅のガスメーターにQRコードを設置し、スマートフォンでそのQRコードを読み取ることで、クラウドを通じて利用者の最新情報をリアルタイムに把握できるという。

このシステムで得る最新情報を配送・保安・検針といった業務に適用し、情報の信頼性と業務効率の大幅な向上につなげている。

顧客件数と販管費を指数化して推移を比較した同社の資料によると、2010年3月期までこの2つの指数はほぼ同じ動きを示していたが、新物流システムが稼働してからは顧客数が同じペースで伸び続けても販管費の伸びは緩やかで、この差が利益を生み出す源泉となっていることをうかがわせる。

ニチガス指数推移-2

第3四半期決算では、4月に迫ったガス自由化への備えにより販管費が増加している点が気になる。ただ自由化は競合他社にとっても同じことであり、こうした激変期にこそ筋肉質な物流体系を構築した同社の競争力が有効に働くのではないか。