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ヤマト、「27年ぶり宅急便値上げ」機関決定

2017年4月13日 (木)

話題ヤマト運輸は13日、宅急便の基本運賃を「27年ぶりに値上げする」と正式に発表した。全社挙げて取り組む「働き方改革」の基本骨子を取締役会で決めたもので、具体的な値上げ内容は4月28日の決算会見で明らかにする見通し。

値上げに踏み切る理由として、同社は「再配達を削減するためのIT基盤やクロネコメンバーズ特典の拡充、スピーディーなオープン型宅配ロッカーの設置拡大などに投資するため」としている。

EC市場の急な拡大を受けて受託する荷物が急増した半面、単価の低い荷物の比率も増加したことが労働環境悪化の一因となった。こうした状況を招いた経緯として「現状の体制に見合った水準に、宅急便の総量や運賃をコントロールすることが不十分だった経営の責任」との考えを示した上で、「特に大口の顧客、低単価の顧客」に対し、荷物量の抑制も求めていく。

同社は「昨今のEコマースの急拡大による大幅な荷物の増加と労働需給のひっ迫に体制の構築が追い付かず、2月から宅急便センターのセールスドライバーを中心とする社員の労働時間の実態を調査したところ、多くの社員が休憩の未取得を申告できていないなどの問題が浮き彫りになった」と取り組みの背景を説明。そのうえで、社員の労働環境への対応に「不十分な点があったことを反省し、2017年度の最優先経営課題として働き方改革に取り組む」ための体制づくりとして、本社・全支社・全主管支店にそれぞれ「働き方改革委員会」を設置した。

基本骨子では労務面の改善、ワークライフバランス、サービスレベルの見直し、宅急便の総量コントロール、基本運賃の改定――の5項目に分けて取り組むことを決定。

労務面では4月16日から労働時間管理を入退館管理システムへ一本化するとともに、管理者と点呼執行者を増員し、社員が労働時間を正確に申告・管理できる環境を整える。また、社員が適切に休息できるよう、休憩時間の携帯電話の転送などを定める「インターバル制度」の導入を推進し、保育所の設置や在宅勤務制度の導入も検討する。

宅急便サービスは6月中に配達時間帯の指定区分を見直し、特に顧客からの指定が集中することで長時間労働の一因になっていた「20-21時」を「19-21時」の2時間枠に、また、社員が昼休憩をしっかりと取れるよう「12-14時」の枠を廃止し、これまでの6区分から5区分に変更するとともに、4月中に再配達受付の締め切り時間を20時から19時に1時間繰り上げる。

宅急便以外についても「業務負荷や採算性の面で見直しが必要なサービスは改良、もしくは統廃合を検討する」。顧客に対する荷物量の抑制要請については、上期中を目標に交渉を進める。