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郵船、実海域データ分析し高効率プロペラ開発

2018年3月8日 (木)

ロジスティクス日本郵船は8日、MTI、ジャパンマリンユナイテッド(JMU)の2社と、実航海での船舶のプロペラの作動状況を分析し、より高い効率を持つプロペラを共同開発した、と発表した。

プロペラは推進性能を左右する重要な機器で、コンピューター上の計算や模型を利用した水槽試験などのシミュレーションをもとに最良な形状を求めて設計される。稼動中のプロペラ周辺の水の流れは非常に複雑であるため、3社は「プロペラの実際の作動状況を把握し、それを踏まえた設計とすることでさらなる環境負荷低減の余地がある」と考えた。

NYKグループとJMUとの協業により、実航海でのプロペラに発生するキャビテーション観測とプロペラ周辺の流速分布の計測結果を分析した。キャビテーションは、水中で急激に圧力が下がることにより気泡が生じる現象で、プロペラ翼面に過大なキャビテーションが発生すると、船の振動やプロペラに浸食作用が起こる原因となる。

(出所:日本郵船)

分析の結果、「シミュレーションとよく一致し、シミュレーション技術の信頼性の高さが確認された」とし、これらをプロペラ設計に活かし、さらに効率の高い形状を追求することで、燃費効率の改善につなげた。

2019年竣工予定の新造コンテナ船2隻に搭載し、燃費効率の改善によりCO2排出量を1.2%削減する見込みだという。

この取り組みは英国王立造船学会の学会誌「Naval Architect」(2018年2月発行)に紹介されたほか、今月中旬にイギリスで開催される船舶性能解析をテーマとする海事関連の協議会「HullPIC」で成果を発表する。