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ヤマト社長、大口運賃交渉「目標到達まで継続実施」

2018年3月12日 (月)

▲ヤマトホールディングス山内雅喜社長(左)とヤマト運輸長尾裕社長(右)

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話題ヤマトホールディングスの山内雅喜社長とヤマト運輸の長尾裕社長は9日、東京都内で記者会見し、「次の100年」に向かって持続的に成長するために取り組む改革について説明した。長尾社長は、大口法人顧客1000社を相手に行った運賃交渉について、システムを活用して定めた目標値に向かい、単年度で達成できなくても継続的に交渉を進めていく考えを示した。

山内社長は「ヤマトグループは2019年11月に100周年を迎え、次なる100年がはじまる。物流業界はもちろんのこと、国内産業界を取り巻く環境はものすごいスピードで変化している。構造的な人口減少、あらゆるものが急速にデジタル化されている。こういうなかで、われわれは変化に対応するため、時代の変化を追うのでなく、逆に先取りして豊かな社会を続けていくための責任を果たしながら、永続的に成長していきたい。そのため、中計の中心に働き方改革を据えた」と述べ、昨年に続きヤマト運輸を核とするグループ各社で長時間労働の是正や環境整備に全力を挙げる考えを強調した。

事業戦略として「デリバリー事業の構造改革」と「非連続的に成長していくための収益・事業構造改革」を両輪とし、働き方改革と合わせて持続的に成長していくためのグループ経営構造改革にも取り組む。また、これらを支える土台として、ガバナンスの強化とデジタル・イノベーションへの対応にも注力する。

ヤマト運輸の長尾社長は、昨年秋までに同社との取引額の大きい法人1000社を相手に展開した運賃交渉を行い、同年10月には27年ぶりとなる宅急便運賃の改定を実施したことについて振り返り、「業務量は従来より低い伸びとなったが、業務を提供できるキャパシティーに近づいてきた」と話し、想定に近い水準で運賃交渉が進んでいることを明かした。

▲運賃交渉の進捗状況を説明するヤマト運輸長尾社長

同社は法人顧客との契約運賃を決める仕組みとして、出荷量、行き先、サイズ、集荷方法、燃料費、時給単価の変動といったコスト変動を組み込む「法人顧客プライシングシステム」を稼働させている。長尾氏は同システムの活用状況について「すでに使用を開始している」と説明。

昨年春以降の運賃交渉で同システムを使用した成果について問われると「今回の交渉だけでは“適正だと思える地点”に届かなかった顧客も多い。交渉の段階から『来年はこの水準まで行きましょう』『その次はここ』とラインを決めて話している取引先もある。こういう交渉には基準が必要だが、取引先ごとに異なるオペレーションもある。それぞれに提供しているサービスのコストをどう考えるかというのが大事だ。当社が得るべき粗利率を設定し、それを達成するためにお願いしていく根拠としていくことになる」と、プライシングシステムによって“目標水準”を定め、そこへ向かって継続的に運賃交渉を進めていく考えを示した。