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東京海上、物流向け事故管理軽減へAIシステム試行

2018年6月15日 (金)

産業・一般東京海上日動火災保険は15日、スマートフォンを活用した損害確認システムで保険契約者の事故情報の管理業務や、貨物事故の保険金請求に要する工数の大幅削減を目指すトライアルを行う、と発表した。

多くの物流事業者では、貨物の損害が生じた際に行う事故内容の報告書作成や保険金請求が必要だが、物流量の増加で事故も増えているため、こうした事故管理や報告に要する工数の削減が課題となっていた。

そこで、東京海上日動は日立ソリューションズ・クリエイトと協働し、AIを活用した損害確認システム「Damage Tracer」(ダメージトレーサー)を活用して保険契約者の事故情報の管理業務、貨物事故の保険金請求に要する工数を大幅に削減することを目指したトライアルを6月中にも立ち上げる。

トライアルでは、ダメージトレーサーの基幹システム上にあらかじめ契約者の運送情報など貨物関連情報、保険金請求に必要な書類の情報を取り込み、貨物現場でスマートフォンなどのモバイル端末を使用することで「写真を撮影したその場で事故情報と貨物情報を紐付けて管理」できるようになる。

これにより、煩雑だった貨物の事故情報管理、特に写真と運送情報とのマッチング作業が軽減されることになるという。

この仕組みでは、システムに内蔵されるAIが損傷・損害を受けた貨物の写真画像を自動で判別し、損害種別、損害レベルを判定。併せて撮影した画像と、貨物のバーコード情報を読み取ることで、瞬時に写真と運送情報とのマッチング作業を行う。

AI分析の結果、使用不可(全損)と判定された貨物は写真などの必要書類を改めて取りまとめる必要がなく、スマートフォン上で保険会社へそのまま事故の通知(保険金請求)が可能なため、大幅な事務ロードの削減が見込まれる。

同社では、6月以降にシステムのトライアル導入を一部の企業向けに実施し、トライアルで作成した写真画像などの「教師データ」は、同種の貨物・損害形態の事故が発生する同業他社に向けてサービス展開を検討。海外での活用推進も視野に、英語版の開発も進めていく考え。