楽天、新構想打ち出し独自の物流構築に注力

ロジスティクス楽天は17日、包括的な物流サービスを提供する「ワンデリバリー」構想を発表し、物流への取り組みを本格化させる考えを表明した。東西で日本GLPが開発する物流施設を借り受け、物流拠点を現行の2拠点から4拠点へと拡大するとともに、楽天市場出店者向けの包括的な物流サービスと独自の配送サービスを強化し、自前の物流のフルラインアップ化を図る。これらを活用し、利用者への宅配ステータス通知や「置き配」などの不在再配達を減らす取り組みを推進、仕組みを外部にオープンにしていくことで、「物流サービスの担い手」としての地位確立を目指す。

17日に発表したワンデリバリー構想では、商品の保管から出荷までの物流サービス「楽天スーパーロジスティクス」の物流センターを全国に拡大し、省人化・自動化の倉庫機器を導入した効率的な物流センター運営と、楽天の購買データやAI技術の活用による受注予測、在庫情報の連携を通じて最適な在庫配置を行うことで、配送スピードの向上、倉庫作業コストと配送コストの削減につなげる。

また、独自の配送サービス「Rakuten-EXPRESS」（楽天エクスプレス）の配送エリアを全国主要都市へ拡大。同時に楽天市場の配送品質を見直し、受け取り場所や日時指定、配送スピードの選択肢の拡充、複数注文をまとめて配達するなど、配送の利便性を高める。併せて、自社物流機能の整備を加速し、楽天市場の物流を一元管理する包括的な物流網の構築を目指す。

楽天市場の出店店舗の商品の保管から出荷までを一括で担う楽天スーパーロジスティクスでは、千葉県市川市と兵庫県川西市の既存物流センターに加え、千葉県流山市と大阪府枚方市で日本GLPが開発する物流拠点を新たに借り受け、処理能力を向上させる。最新のマテハンシステムを導入して運営効率を高め、省人化に取り組む。「楽天ダイレクト」などの直販サービスの商品在庫も管理する。

▲「GLP流山II」

2016年11月に「楽天ブックス」の商品を対象として東京都内8区から試験運用を開始した楽天エクスプレスでは、配送エリアの拡大に注力。年内に関西主要都市で楽天独自の配送を展開する。

6月には玄関前やガスメーターなど、住宅敷地内への置き場所指定配達「置き配」を開始しており、受取人不在時に事前に指定された場所に荷物を届ける仕組みを整備。今後、楽天市場アプリを活用して宅配の事前通知機能を導入するなど、利便性の向上を図る。

さらに、荷主への集荷サービスや物流拠点間の幹線輸送といった物流機能の拡充にも取り組み、自らが運営する大型物流センターでは、荷量集めや方面別仕分けを行うことで、宅配会社とのワークシェアリングを促進。利用者への宅配ステータス通知や置き配など、不在再配達を減らす取り組みを強化する。

▲「GLP枚方III」

■千葉県流山市の新拠点概要
名称：Rakuten Fulfillment Center Nagareyama（仮）
物件名：GLP流山II
所在地：千葉県流山市南261
稼動開始：2018年内（予定）
賃借面積：2万4000坪
建物階数：地上4階建て（事務所部5階建）

■大阪府枚方市の新拠点概要
名称：Rakuten Fulfillment Center Hirakata（仮）
物件名：GLP枚方III
所在地：大阪府枚方市長尾谷町1
稼動開始：2019年内（予定）
延床面積：3万6000坪
賃借面積：2万3000坪
建物階数：地上5階建て