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貨物鉄道政策で荷主4社、「利便性と価格が課題」と提言

2012年6月6日 (水)

行政・団体国土交通省は6日、鉄道貨物輸送の将来ビジョンに関する懇談会(5月30日開催)の概要を公表した。懇談会にはキヤノン、東芝ロジスティクス、トヨタ自動車、三井物産が出席し、荷主の立場から見た貨物鉄道政策を提言した。

 

荷主の立場で出席した4社は、海上コンテナや31フィートコンテナといった大型コンテナの利用可能範囲を拡大させるなど、利便性の向上を求めたほか、発地から着地までの単純な一貫距離制運賃の導入、稼働率・積載率向上によるコストダウンなど「他輸送モードに対抗しうる価格競争力」の実現を提言。

 

さらに、輸送障害時のリスク対応、適切な情報提供、国際物流との連携促進、施設、設備の改善などによる輸送品質の確保――などが必要との考えを示した。

 

これらの提言を受け、懇談会は意見交換を行った。出された主な意見は次の通り。

 

■主な意見
・鉄道へのモーダルシフトを進めるためには、荷主に対し、発地から着地までの全体としての輸送の中で、鉄道輸送が最適となるような提案がなされることが必要。

 

・効率的な積載を考えた場合、既存の12フィート(5トン)コンテナサイズでは高さが足りないケースがある。より背の高いコンテナであれば、運べる荷物の種類が増えるはず。

 

・モーダルシフトを進めるためには、現状よりもコストが上がらないことが前提であり、ほかの要因(クオリティ、リードタイムなど)で勝ったとしても、コストが上がるのであれば経営レベルで容認されない。

 

・例えば、社内での輸送、リードタイムに1日余裕を持たせれば鉄道を利用する余地が増えるのではないか。

 

・社内でも在庫は可能な限り圧縮を進めており、鉄道へのモーダルシフトを行うためにリードタイムを延ばすことは困難。

 

・鉄道貨物の輸送障害発生時、復旧の正確なタイミングわからないと代替輸送の手配などの調整ができないので、目安程度で良いから具体的な情報を提示してほしい。

 

・主要港湾とインランドデポとの間の海上コンテナ輸送を国が主体となって早急に制度化すべき。

 

・現在、トラックドライバーは若手になり手がいなくなり年々大幅に減少している。将来は長距離ドライバーが確実に不足すると考えられ、500キロメートルといわず200-300キロメートルも鉄道での輸送へのシフトを考えていくのが有意義。