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年頭あいさつ要旨

商船三井・池田社長、ONE支援「関与深める」

2019年1月4日 (金)

▲池田潤一郎社長

ロジスティクス商船三井の池田潤一郎社長は4日、東京都港区の本社でグループの全役職員に向けた年頭あいさつを行った。この中で、池田社長は海運大手3社によるコンテナ船事業の統合会社「オーシャンネットワークエクスプレス(ONE)」について「想定以上に厳しい船出となったが、打つべき手は明確に見えている。出資会社としてガバナンスを効かせながら私自身も同社の取り組みへの関与をより深め、必要に応じた支援を行っていく」と述べた。あいさつの要旨は次の通り。

■商船三井・池田潤一郎社長の年頭あいさつ要旨
今年は平成最後の年だ。平成の世は海運にとって激動の時代だった。初期は世間のバブル景気を横目に海運業界は厳しい経営環境が続いた。2000年代に入ると、中国の経済成長や世界貿易の伸長とともに海運市況も高騰、空前の海運ブームが訪れる。当社は07年に経常利益3000億円を達成した。その後ブームは終焉、リーマンショックやマーケットの乱高下といった荒波にもまれるなか、大きな構造改革を迫られた時期もあり、現在も難しい舵取りを迫られている。そんな数々の環境変化の中にありながらも当社は変革・成長を遂げ、平成元年に4800億円であった売上高はこの30年で1兆6500億円まで成長拡大した。

昨年4月に営業開始した定期コンテナ船事業の統合会社オーシャンネットワークエクスプレス社では、初期のオペレーションの混乱もあって想定していた積取高には届かず、想定以上に厳しい船出となった。しかし、三社統合によるコスト削減効果は統合前の見込みを上回って出てきており、また積取高と収益の回復に向け打つべき手は明確に見えている。これまでの結果は真摯に反省しつつ、出資会社としてガバナンスを効かせながら私自身も同社の取り組みへの関与をより深め、必要に応じた支援を行っていく。

ローリングプラン2018では10年後のありたい姿である「ストレスフリーなサービスの提供」「環境エミッションフリー事業のコア事業化」「相対的競争力ナンバーワン事業の集合体」に向けた各種施策の深度化と、「価格競争力の強化」に力点を置いて活動してきた。

海洋事業では一昨年竣工した「MOLFSRUCHALLENGER」のトルコでの稼働開始や、洋上風力発電関連事業への参画など、当社が提供できるサービスメニューの拡大に取り組んでいる。ヤマルLNGプロジェクトでは砕氷LNG船による輸送が開始された。物流分野ではMOLWorldwideLogisticsにブランド統合した。ケミカル船事業ではMOLChemicalTankers社がタンクターミナルなど事業領域の拡大に挑戦している。その他の事業部門でも、安定収益確保を前提に、将来の飛躍に向けた投資を行ってきた。

10年後のありたい姿を支える重点強化項目主要なものだけ列挙するが、海技力では将来の当社運航船を支える人材育成の場としてフィリピン商船大の開校、ICTでは海陸間の情報伝達をよりスムーズにするFOCUSプロジェクトの始動、技術革新・環境エミッションフリー事業では将来のLNG燃料化の動きに備えたLNG燃料供給船への参画やLNG燃料タグの進水を実現した。また、働き方改革では人事制度改革やRPA導入、さらにはワークプレイス改革といった人的競争力の強化や業務効率化の施策を通じて、ありたい姿実現に向け着実に前進している。

2019年の見通し
外部環境は米中関係やHard BREXITなど世界政治・経済の面でも当社を取り巻く環境はより不透明さを増している。特に外航海運業に直接的に影響することにして、20年1月からスタートするSOx規制がある。当社だけでなく海運業界の浮沈をかけた一大転換点といっても過言ではない。残された時間はあと1年を切っている。オペレーション面の懸念はさることながら、営業・マーケティング面での対応準備は十分か、どのようなリスクがひそんでいるのか、今一度再点検が必要だ。海運業のプロフェッショナルとしてこれまで培ってきた当社のあらゆる知識・経験を総動員して、この変化を乗り切ろう。

今年はローリングプラン3年目となる。この2年間に積み上げてきた各方面での成果、取り組みをより現場・現業に近いところでのアクションに落とし込み、そしてそれを広げていくべき年であり、「ストレスフリー」というキーワード具体的なイメージを固めて行動にうつすときだ。それだけでなく、さらなる飛躍のためにも、今年は当社が多少の荒波にも負けない強靭な足腰を維持し、そしてよりしなやかな体質に変わっていくために、特に収益力の強化という点にこだわっていきたいと考えている。収益性を高めるべく、昨年から取り組んでいるコスト競争力強化の取り組みも加速させよう。