ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

三菱商事・垣内社長「DX化×物流で飛躍的な効果」

2020年1月8日 (水)

荷主三菱商事は6日、垣内威彦社長の年頭挨拶を発表した。

垣内社長は挨拶の中で「三菱商事が圧倒的に強い基盤を持つ食品流通や産業素材流通業界を対象にデジタルトランスフォーメーション(DX)化に取り組む」とし、AI・IoTを通じて物流を相乗りさせることで飛躍的な効果を達成できると話した。

(以下、抜粋・要約)

2020年にあたり、皆さんに改めてお願いしたいことがある。仮にDXを導入すればどうなるのかを、夫々の立場で深く考えて欲しいと思う。

昨年11月にオランダEneco社の買収の優先交渉権を獲得し、年末にはNTTとDXに関して業務提携を行ったほか、第1弾として位置情報システムサービスに強みを持つHEREに共同出資することも発表した。これで、これまで三菱商事に不足していたピースが揃いつつある。いよいよ実業の中でこれらを繋げて、新しいビジネスモデルを本気で作り上げる段階に入ることになる。

特に、昨年末に発表したNTTとの業務提携は、今後の三菱商事の行く末を決める大きな転換点になると考えている。三菱商事の産業知見と、NTTのデジタル知見や技術のそれぞれを活かして、産業のDX化を推進し、旧態依然とした日本の産業の生産性を飛躍的に高めようという取組みだ。

まずは、三菱商事が圧倒的に強い基盤を持つ食品流通や産業素材流通業界を対象にDX化に取り組んでいくが、あくまで産業レベルでの変革を推進することを意図しており、三菱商事の事業効率化・生産性向上に留まるつもりはない。

その業界で共通化できる商品コード、受発注や入出金の手続き、倉庫管理・発送や物流などをAI/IoTを通じて相乗りさせることで、飛躍的な効果を達成できることになる。共有できる部分はデジタルプラットフォームを共有し、本来みずから競争すべき部分、例えば、メーカーであれば商品開発・品質改善に経営資源を集中できることになる。

もはや、商品という名の特定の有形物に限定して物事を考える時代は終わったのではないかと思う。あらゆる産業に関与している三菱商事の産業知見をベースに、顧客やさまざまな業界との間の業務プロセスを見直し、各産業でのDX化を担うデファクトスタンダード、すなわちデジタルプラットフォームを構築することで、今までとは異なる形での、業界再編も含めた大きな変革を起こせると確信している。ある業界で創ったデジタルプラットフォームを、他の業界へ次々にコネクトしていくことも可能だ。

社員の皆さんが関与・対面している業界を改めて客観的に見て、デジタル化が遅れているという認識であれば、今のままで未来はあるのか、考えてみて欲しいと思う。それぞれの事業の現場で何を変えていくべきか、当事者意識をもって議論し、産業やデジタルの知見・技術を最大限活用してもらいたい。

今回のEneco、HERE、NTTとの業務提携に代表されるような、グループを超えた構想を具体化する動きが、色々な部局で生まれ始め、また今後の方向性が明確な状態になりつつあります。その実行速度を加速させるために、それらのプロジェクトを強力に推進する組織を作りたいと思う。自ら構想し、組織を作り実行する、これを実現するために、グループを超えた異動がどんどん起こる。そういったことが、普通となる三菱商事になればと期待している。

最後になるが、ことしは三菱グループ創業150周年にあたる年。偉大な先人たちは、それぞれの時代認識を正確に捉え、自ら事業を構想し、産業を興してきた。今を生きる我々も、我々なりの自覚をもって社会に貢献できるよう、2020年を三菱グループ創業150周年の門出の年にしたいと思う。