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国交省、強い物流目指す106施策は「概ね着実に実施」

2020年3月30日 (月)

ロジスティクス国土交通省は27日、2020年度までに物流事業の労働生産性を2割以上向上させることを目指して策定された「総合物流施策推進プログラム」について、関係省庁で構成される「総合物流施策推進会議」が106施策の実施状況の確認と見直しを行ったことを発表した。

「総合物流施策推進会議」では、各施策とも「おおむね着実に実施」されていると分析し、取組内容や工程に変更が必要な施策についてはプログラムの改定を行った上で、新たに2つの施策を追加。今後の方向性については「物流を巡る環境の変化に適切に対応する取り組みが重要であり、2021年度以降の次期『総合物流施策大綱』策定のため議論を進めていく必要がある」とまとめた。

ほか、各施策に対する関係団体からの意見については次のようにコメントした。

■関係団体からの主な意見と関係省庁の対応

(1)政府主導で業界・分野ごとにパレット規格を集約する計画を策定してほしい
「物流を効率化させていくための1つの手段として、パレットの使用は効果的。加工食品分野の物流標準化研究会で望ましいパレット規格について明記するが、サプライチェーン全体でパレット規格を統一するのは難しい。業界や業種ごとに相応しいパレット規格を設定していきたい」

(2)首都圏空港のベリー貨物(航空旅客便で運ぶ貨物)増加への対応など、具体的な施策を示すべき
「成田空港では、さらなる機能強化を目指し、拡張余地のある施設配置計画の検討を行っていく。羽田空港では、貨物ターミナルの上屋増築や第2ターミナル国際線就航に伴う貨物中継地の整備など、今後増加が見込まれる需要に対応すべく整備を進めている」

(3)「高度物流人材の育成」について、理工系学生向けの高度物流人材の育成教育を充実させるべき
「物流分野に携わる理工学系出身者は少ないと認識しており、理工学系の高等教育を充実させる必要がある。2020年4月から東京大学先端科学技術研究センターで『先端物流科学寄附講座』が開設されることもあり、こうした取り組みを広く周知していく」

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今回の会議で見直し・追加された主な施策は次の通り。

■見直した施策

(1)「フードチェーンにおける商慣習見直しの促進」
これまではKPI(成果指標)を食品循環資源の再生利用等実施率としていたが、これを「事業系食品ロス量」に置き換える。

(2)「港湾における総合的低炭素化施策の推進」
新しく「促進区域において運転が開始されている事業数」をKPIとして設定する。

■追加した施策

(1)「トラック事業者・荷主双方におけるトラック事業に関するコスト構成等についての共通理解の促進」
法令を順守しつつトラック運送機能の持続的確保を図る上でコストが必要になることについて、荷主・運送事業者双方の共通理解を促すため、「トラック運送サービスを持続的に提供可能とするためのガイドライン」を関係者に周知する。

(2)「標準的な運賃の告示制度の適切な運用」
ドライバーの労働条件改善、トラック事業の健全な運営確保、物流機能の維持向上を図るため、法令順守して持続的に事業を運営する際の参考となる「標準運賃」を設定する。

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