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全ト協が緊急物資輸送を差配、災対法準用の要請受け

2020年4月8日 (水)

話題全日本トラック協会(全ト協)は8日、政府の緊急事態宣言を受けた国土交通省の要請により「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置し、災害対策基本法を準用する形で国の物資輸送要請に対応することを明らかにした。

▲物資輸送の様子(出所:経産省)

緊急事態宣言の根拠となる新型インフルエンザ特別措置法では、全ト協は緊急物資輸送を担う「指定公共機関」に指定されていないが、「国難ともいえる状況に対し、業界をあげて対応する」(全ト協会長)ため、国交省の要請に基づき、災害対策基本法を準用する形で対策本部を立ち上げた。災害対策基本法の「指定公共機関」には全ト協が含まれている。

取材に対し全ト協の担当者は、「以前からこうした仕組みは運用されており、新型コロナウイルスへの対応でも、中国・武漢からの帰国者向け緊急物資輸送などを運送事業者に依頼してきた。緊急事態宣言を受けて改めて要請を受けたため、正式に対策本部を設置した」と、その経緯を説明。7日にも成田空港に段ボールベッドを送る緊急輸送を実施したという。

では、今後の緊急物資輸送はどのような指示系統で運用されるのか。都道府県では、新型インフル特措法に基づき「指定地方公共機関」である地方トラック協会が運送事業者を差配する。

(イメージ画像)

今後、地方ト協で対応できない輸送が生じる場合には、地方ト協が都道府県に要請し、都道府県が国に支援を要請。これを受けた国が全日本トラック協会に輸送を要請し、運送事業者を差配する。

全ト協はこの対応について、国交省から指定公共機関の陸運5社と連携して対応するよう要請を受けており、「事前の協定はないが、すでに実施している緊急物資輸送では、陸運5社とコンセンサスが取れている」と説明した。

このほか全日本トラック協会は、緊急事態宣言の対象となる7都府県トラック協会の7日時点の対応をまとめて公表。取材に応じた東京都トラック協会と神奈川県トラック協会では、宣言後から現在までに都県から輸送要請を受けていないが、神奈川県トラック協会では輸送依頼者に対し感染者が確認された建物内で物資の引き渡しを行わないよう要請する方針を打ち出している。

また、東京都トラック協会では、医薬品以外に食糧の輸送を想定しているほか、大阪府トラック協会は2月から3月にかけて計7回・トラック45台分の物資輸送を実施。防護服、医療用ガウン、ゴーグル、マスク、メディカルキャップ、グローブ――などの医療資機材を輸送している。

■新型インフルエンザ特措法の「指定公共機関」陸運5社
佐川急便、西濃運輸、日本通運、福山通運、ヤマト運輸

■全ト協がまとめた地方トラック協会の対応

トラック協会想定される対応内容備考
東京都・医薬品の輸送
・感染者待機場所への⾷糧などの輸送
輸送依頼に際し、関係者に対する⼗分な感染予防措置を講じるよう申し⼊れ。
神奈川県特措法第54条に基づく緊急物資輸送輸送依頼者に対し、感染区域以外での引き渡しの要請(運送者の感染区域内への⼊場⾃粛)
千葉県医療品・医薬品の輸送輸送に関し、感染予防の徹底を依頼
埼⽟県災害時(地震、洪⽔など)と同様に埼⽟県防災基地(県内5か所)から指定場所まで備蓄品の運送を想定しており、医薬品、医療機器などは、従来の業務を拡⼤することで対応し、当協会に依頼する想定はない。
(2020.04.03 災害対策課 ヒアリング時点)
埼⽟県災害対策課に対し、運送の際には感染予防の対策(危険施設への内部への配送はできない。など)に配意をしてほしい旨、⼝頭で要請。
(2020.04.03 実施)
⼤阪府[物資輸送対応状況]実施済み:令和2年2⽉7⽇3両、13⽇10両、19⽇ 13両、3⽉5⽇4両、19⽇8両、23⽇8両、24⽇7両
実施予定:4⽉8⽇13両
[輸送品⽬]医療資器材(防護服、医療⽤ガウン、ゴーグル、マスク、メディカルキャップ、グローブなど)
輸送に際し、ドライバーの安全を確保するため、感染者収容医療機関への輸送は原則実施せず。
兵庫県
福岡県災害時に準じた輸送を想定しているが、県本部では未だ運送依頼の議論になっていない。なお、マスク、消毒液等の輸送は薬務課が卸業協会に依頼済み。
(2020.04.6 対策本部ヒアリング)
輸送依頼に際し、運賃⽀払いの協議と関係者に対する⼗分な感染予防措置を講じるよう申し⼊れ。

「緊急事態宣言」法案成立、指定21社に輸送指示可能