ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

福通が特積み運賃改定と新運賃導入、わかりやすさ前面に

2020年8月20日 (木)

ロジスティクス福山通運は20日、同社グループ32社が積み合わせ運賃の改定と新運賃の届出を行ったと発表した。運賃体系をわかりやすくするとともに、運賃の改定によって低調な輸送量、輸送効率(積載率)のマイナス分を補い、人材確保や設備投資の原資に充てる狙いがあるとみられる。

19日に中国運輸局・広島運輸支局に積み合わせ運賃の改定を、20日に全国の運輸局・運輸支局に「2020運賃」と名付けた新運賃をそれぞれ届け出た。また、今回の改定を機に「見える化」「単純化」を進め、わかりやすい運賃体系を目指す。

同社では2015年にそれまでの運賃・料金制度の簡略化を目指して導入した「新得意先マスタ」の適用を拡大するため、18年に設置した運賃料金管理部を中心に、顧客(荷主)への働きかけを続けた。20年には導入から5年目を迎え、6月末時点の導入率は95.3%へと高まっている。

一方、足下では新型コロナウイルスの影響で輸送需要が減退する事業環境の中で、8月6日に発表した4-6月期決算では、主力の運送事業の売上高が前年同期の634億円から604億円へと30億円減少し、利益率も0.1ポイント低い7.4%に悪化した。

4月の運賃は個建て、重量別ともに前年同期実績を2.1-2.5%上回ったものの、輸送量が9.4%減少して運賃改善効果は帳消し、5月に至っては運賃、輸送量がそろって実績を割り込んだ。運行便の積載率も前年4-6月期の77.5%から74.7%へと、2.8ポイント悪化している。

5月25日に緊急事態宣言が解除されて月が変わった6月は、それまでの反動で増加に転じたが、新型コロナウイルスの影響が落ち着く気配は見られず、依然として先行きは不透明なまま。数少ない好材料であるEC通販向けの輸送需要の高まりを捉えるためにも、新運賃を打ち出すことで、運賃是正に弾みをつけたい思惑もありそうだ。