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三菱倉庫、日米間貨物の常時追跡実験で効果実証

2020年9月14日 (月)

ロジスティクス三菱倉庫は14日、米ニューヨーク向け航空貨物輸送で「リアルタイム・トレーサビリティ」の実証実験を実施したと発表した。スマートバーコードやロボットを用いた物流ソリューションの開発を手がけるスタートアップ企業のLOZI(ロジ、名古屋市中区)と共同で、ニューヨーク向け鮮魚の航空輸送を対象として7月下旬に東京・豊洲市場からニューヨークの日本食レストランへ鮮魚を届けた。

トレーサビリティーの概念図(出所:三菱倉庫)

生鮮食品や医薬・医療関連の取り扱いが多いという三菱倉庫では、輸送品質の向上を図るため、輸送状況をリアルタイムに提供できるリアルタイム・トレーサビリティの構築に取り組んでいるが、この計画をすすめる中で「単一のQRコードによって多くのデータを共有、管理することができ、取り扱いがシンプル」なロジのスマートバーコードに着目、共同で実証実験を行った。

具体的には、鮮魚の輸送ケースにスマートバーコードを貼り付けて輸送し、行程上のトラッキングポイント10か所で、担当者が輸送ケースのスマートバーコードをスマートフォンで読み込み、輸送状況に関する情報をデータベースに格納。これらの情報やデータをチェックし、事前に設計した情報処理フローの妥当性やシステムの動作状況を検証した。

トラッキングポイントは豊洲市場(集荷時)、成田空港(上屋搬入時)、輸出通関、ニューヨーク・JFK空港での輸入通関、配達先への配送、納品――に設定し、輸出入許可は、通関担当者がインボイス上に貼り付けたスマートバーコードから入力した。

スマートフォン画面イメージ(出所:三菱倉庫)

フライト中は、フライトスケジュールを自動取得してトレーサビリティシステム上に表示。成田空港の上屋搬入時とニューヨークでの現地配送の出発時には、スマートフォンで輸送ケースを撮影し、画像をシステムにアップロードした。

実験では顧客、配達先、三菱倉庫の三者が輸送状況をリアルタイムに把握、共有できることを実証。今後の実用化に向け、実験で得られたデータや課題の検証を続けるとともに、利用しやすさの向上と輸送中の位置情報を管理する機能の追加に取り組む。医薬品、特殊化学品、精密機器などの航空輸送への応用も検討する。