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アジアの物流施設投資「今後も参入続く」、JLL

2020年10月26日 (月)

調査・データJLL(ジョーンズラングラサール、米国シカゴ)は26日、アジア太平洋地域の物流市場に関するレポートを発表した。2020年上半期の物流セクターへの投資は前年に比べて32%減少したが、こうした状況下でも「アジア太平洋地域の物流セクターに対する投資家のセンチメントは依然ポジティブ」だとして、今後も新旧プレイヤーの参入が続く、との見方を示した。

レポートで、同社は新型コロナウイルスが影響を及ぼしている範囲について「アジア太平洋地域全体の投資フローやテナント需要」を挙げ、「引受けの前提条件、想定賃料と空室率、資本コスト、渡航規制、不透明な価格などの不確実性を背景に、20年上半期の物流セクターへの投資は前年比32%減少した」と指摘。

その一方で、「物流は依然として投資家が注目するセクターだ。取引数は若干緩やかになっているものの、市場は成長している。物流セクターへの投資が増加したことで、より複雑な取引が増え、新旧プレーヤーの参入が拡大しており、今後もこのトレンドは続くだろう」(スチュアート・ロス氏=JLLサウスイーストアジアインダストリアルアンドロジスティクスヘッド)と市況を楽観視。

その理由として「物流施設単体ではなく、物流施設を複数所有する物流業者(プラットフォーマー)による取得が増加している。この高度な投資方法により、投資家は既存のテナントネットワークを獲得でき、迅速に目標を達成することが可能」と説明、プラットフォーム投資の中でも「統合や私募化は、今後物流セクターへの新たな投資方法になる」と予測した。

このほか急速な機関投資家の参入が見込まれ、23年にかけて価格の伸びは緩やかになるものの「物流への需要は引き続き堅調」に推移するとの見通しを示した上で「価格は比較的堅調に推移するものの、一部の市場では利回りの低下がみられる見込み」とした。

20年上半期の物流施設の賃貸需要については「食料品の小売やヘルスサービス分野など、短期的な需要は急増している」とみている。

■テナント企業の意思決定に影響を与える主要な動き
多層階の物流施設:多くの都市では人口密度が高く、施設建設用の土地が限られ、土地価格も相対的に高いことから、多くの市場で多層階の物流施設に対する需要が高まっており、特にオーストラリアとインドでその傾向がみられる。

ラストワンマイル物流の発展:今後も、都市部での物流網、配送の最適化、クロスドッキングセンター、自動運転車の導入で顕著な転換が進むと予測される。

3PLロジスティクスの台頭:食料品などの小売、ヘルスケア、製薬、オフィス用品など成長産業の需要に応えるため、テナント企業は、旧型の物流施設、典型的に規模が小さく、オーナー所有の施設から、最新で好立地の近代的な物流施設に移転している。