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9月の輸送量「減少した」65%、神奈川県ト協調べ

2020年12月2日 (水)

ロジスティクス神奈川県トラック協会が10月中旬に行った、コロナウイルス感染症によるトラック運送事業者への影響調査結果(652社が回答)によると、65%の事業者が8月から9月にかけて輸送量が減少した、と回答していることがわかった。

アンケートは輸送量、営業収入、人手不足の状況を会員の運送事業者に質問・集計したもので、これまでに3月、4-5月、6-7月の3回にわたって実施してきた。

4回目となる今回の調査では、輸送量に関する質問で「大幅に増加」「やや増加」と回答したのは58社にとどまり、「横ばい」が149社、「やや減少」と「大幅減少」が合わせて383社に上った。回答事業者590社に占める割合は65%。10-11月の見通しについては「大幅減少」がやや少なくなり、横ばいが20社増えたものの、大勢は変わらない。

営業収入は「やや減少」「大幅減少」が合わせて405社に達した一方、「大幅増加」「やや増加」は57社にとどまり、新型コロナウイルスの影響で運送事業者の台所事情が悪化していることを示した。横ばいは113社。10-11月の見通しも、減少を予測した事業者が355社、横ばいが127社、増加が42社となり、輸送量が多少改善しても、売上改善にはつながらない状況だ。

(出所:神奈川県トラック協会)

■調査結果
https://www.kta.or.jp/pub/upload/20201201%20corona4sasikae.pdf

質問項目と実施期間の統一が必要

特定都道府県の実態に多少の違いはあろうとも、(1)既存の損益分岐点割れは不可避な収益減(2)各種補助制度の活用が不十分(3)過半の事業者は荷主に条件交渉していない(4)交渉の‘弾’として標準運賃を活用できていない(5)荷主交渉以前に、運送事業者自らが過当競争を招いているーーというのが、現状の漠然とした輪郭と推察できる。

毎度似たような指摘をしているが、こういう重要な情報収集にあたっては、全国統一で一斉に行うべきだ。集約データの客観性や傾向の明確化がより如実になるだろう。

かたやで運輸局と協会は、まず荷主向けの広報を頻度高く濃密にするべきではないだろうか。荷が減少する中で、通常の競争原理に委ねたままでは、価格のくぐりあいによる過当競争が激化するのは必至だからだ。不振が生む不採算連鎖の埋め合わせに補助融資や助成金が充てられるのは本末転倒はなはだしく、先の破綻は目にみえている。

荷主からすれば「こちらも苦しい中、業者自ら値下げや破格値の呈示をしてくれるのはありがたい」と暗黙のまま許容することは当然だ。強権発動とはまさに今のような時にこそ用いるべきで、恒久拙速の典型と言えよう。(企画編集委員・永田利紀)