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全米トラック協会、運転手へのワクチン優先接種主張

2020年12月2日 (水)

国際全米トラック協会(ATA)は現地時間の1日、バイデン次期大統領、疾病管理予防センター(CDC)、全米知事協会に対し「全国的なワクチン配布戦略にトラック運送業界が重要な地位を占めていることを忘れてはならない」として、トラック運転手に新型コロナウイルスワクチンを優先接種するよう要請した、と発表した。

同協会の渉外担当上級副理事長であるビルサリバン氏は、バイデン氏らに宛てた書簡の中で「トラック運送業界の働きは、近日に迫ったワクチンの供給プロセスで最も重要な役割を果たす」と、ワクチン供給にトラック運送業界が不可欠な存在であることをアピール。

その上で「業界は全米にワクチンを届けることを求められている。サプライチェーンの遅延や混乱の可能性を最小限に抑えるために、トラック運転手が優先的にワクチンにアクセスできるようにすることが不可欠だ」と主張している。

また書簡では、国土安全保障省のサイバーセキュリティ、インフラ安全保障局(NSA)がトラック運送業界を「不可欠な業界」に指定していることを引き合いに出し、「米国のコミュニティの80%以上が必要な物資を受け取るのにトラックだけに頼っている」とも指摘している。

トラック依存は日本も同じ

各国各団体の方法論への評価は別として、速やかで具体的な指針決定から実行には、見倣い追従するべきだ。

記事にあるとおり、トラックへの依存度の高さゆえドライバーに新型コロナウイルスワクチンの優先投与を――という考え方に、日本も追随すべきだ。もちろん空輸や鉄道にも可能な限り分散することが理想ではあるが、冷凍・冷蔵の設備という要件ではトラックが圧倒的に好適であることも確か。

いずれにしても、新型コロナウイルスワクチンにまつわる物流関連事項で、物流業界では常用されている「業務フロー」の基本設計と共通運用指示書のような文書や図表の策定、さらには最終案の確定手順やスケジュールも公表されるべきだろう。

どこかでだれかがきっとやっている――という関係各位のお見合いが生む「穴」が発覚し、転倒、迂回、踏み外しといった類を回避する術は、国内物流各社があたりまえに持ち合わせている基本技術だ。お国の大事に技術供出を厭う企業は皆無だろうし、その役を担うことは名誉であり本懐に違いない。

まずは趣旨決定と指示主体から医療現場への納品者をつなぐ相互通行のレポートラインを規定。一次情報の受け手である幹事数社は、各機能・各地域別の物流ルートを決定。ここで述べるまでなく何らかの案がすでにあるはずなので、早急に公開願いたい。(企画編集委員・永田利紀)

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