行政・団体日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は25日、本年度の物流コスト調査の結果、全業種の平均売上高物流コスト比率が5.38%になったと発表した。前年度から0.47ポイント(P)上昇した。
物流企業による荷主への値上げ要請の動きが活発化したことを背景に、近年では売上高物流コスト比率が上昇傾向にあったが、今回の調査では大幅に上昇し、過去20年間の調査で2番目に高い数値となった。この結果に、JILSは「近年続いている労働力不足などによるトラック運賃の値上げや荷役費の値上げによるものではないか」と推測している。
調査は7月から11月にかけてアンケート方式で行われた。有効回答数は202社。調査対象期間は主に2019年度であるため「売上高物流コスト比率上昇へのコロナ禍の影響は限定的」(JILS)となっている。
有効回答のうち、2年連続で回答した163社の調査結果を前年度と比較した場合、売上高物流コスト比率は5.63%(全業種平均)で、上昇幅は0.14Pと縮小した。
また値上げ要請の有無については、回答企業(171社)のうち83%が「要請を受けた」と回答したが、前年度との比較では10.1P減少した。値上げ要請を受けた企業(142社)のうち、136社(95.8%、4.3P増)の企業がこれに応じたことから、JILSは「引き続き荷主が物流事業者からの値上げ要請を受ける状況に変わりはない」とみている。
JILSによると、今回の発表は速報値となっており、この後、調査内容を精査した上で来年4月に確定値を公表するとしている。
物流コスト調査報告書(速報版)