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消費地近隣の物流施設賃料が上昇、C&W調べ

2021年1月21日 (木)

国内クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)は20日、新型コロナウイルスの流行を背景としたEC需要の拡大により、消費地に近い賃貸物流施設の賃料が上昇している——とする市場調査リポートを公開した。

リポートでは、2020年10-12月期の経済回復状況について、輸出額が前年同期比ではマイナス13%だが、20年7-9月期からは16.9%増と3四半期ぶりにプラスになったことなどを挙げ、「新型コロナウイルスの感染状況で一進一退」の状況にあると分析。コロナ以前の水準への回復には「時間がかかる見通し」とした。

航空輸送モードごとの状況については「旅客便の運航減少が貨物スペースの切迫を招き、航空物流に影響を与えている」と指摘。輸送運賃の高止まりを受け、「貨物専用機を投入するなど貨物便の強化によって旅客の減収分を補う動きがみられる」として、結果として航空会社による貨物専用機の拡大につながっているとの見方を示した。

また海上輸送は、回漕の遅れによる世界的なコンテナ不足で便数が減少するなか、北米向け家具、年末商戦貨物などで需要に拍車がかかり、輸送運賃が2-3倍に高騰したと指摘した。

国内では、福岡エリアで新規供給が影響し、トップ賃料が前年同期比18.8%成長の3800円になったと説明。福岡都市圏の消費地に近い同エリアにEC物流に対応可能な大型施設が少なく、「消費者のオンラインシフトによる配送需要増を受けて国内外のデベロッパーが開発用地を取得する動きがある」としながらも、完成時期が数年先であり、需給の切迫が続く見通しだとした。

大阪内陸エリアでは、ラストワンマイル配送に適した都市型物流施設の新規供給などの影響で下半期のトップ賃料が前期比1.9%の上昇、前年同期比では8%成長の5400円となったことを挙げ、「継続した新規着工や開発用地取得の発表などで需給は今後も堅調に推移する」との見方を示した。

関東については「空室がきわめて少なく供給が需要に追い付かない状況で、下半期のトップ賃料は横ばいで推移した」としている。