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防災・避災準備に「停止」措置標準化せよ/解説

2021年2月4日 (木)

話題この数年でずいぶん様変わりしたBCPの中身だが、まだまだ少ないと感じるのは「完全に停止する」という項目とその基準設定だ。

WNI、日本初・停電リスク予測を企業向けに
https://www.logi-today.com/418676

自家発電や非常時の通信手段の確保など、地震や暴風雨雪などによる激甚災害時下での「稼働」を是とする内容はいまだに圧倒的多数を占めている。
しかし、烈しく強い天災に見舞われた時、われわれの事前想定や準備はむなしい結果に終わることも多かった、という記憶や傷痕の経験も真摯に認めなければならない。

そのうえで、施設や設備の防災・免災処置を施して可能な限りの保全措置を講じたあとは、思い切って「すぐさま停止する」「完全に止める」という選択を是とするのはどうだろうか。

(イメージ画像)

大きな災害の後は、往々にして住宅や公共施設、電気・ガス・水道などのインフラに支障が出る。

つまり、最先端の気象情報入手と防災対応設備によって難を逃れた物流施設などが稼働可能な状態であっても、その立地の周辺部や近隣地域の機能、さらにはその施設の従業員の日常生活が停止していれば、BCM発動による有事稼働を始めた建屋や設備は荒野を漂う無人の方舟のごとくでしかないはずだ。

仮に大型の物流倉庫が無傷に近い形で自家発電と非常時通信、防水設備による無浸水の床などが確保されているなら、その機能を向ける第一は被災者保護や復旧活動への寄与ではないだろうか。

各地の新設倉庫が自治体と協定し、ハザードマップ連動型施設として登録される動きも目立つようになってきた昨今。企業と自治体の自助努力に依存するばかりではなく、少なくても都道府県単位での全体適用をかなえて欲しい。(企画編集委員・永田利紀)