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ワクチン配送の基本情報依然不透明、接種開始目前も

2021年2月15日 (月)

(イメージ画像)

行政・団体15日に開催された衆院予算委員会の集中審議で、公明党の岡本三成議員が新型コロナウイルスワクチンの物流に関する情報不足を政府にただしたのに対し、河野太郎ワクチン担当相は「(情報を)共有できる段階になれば、すみやかに共有するつもりだ」と答弁した。17日から医療関係者への優先接種がはじまるが、国内の円滑なワクチン物流に欠かせない情報は依然として不透明なままだ。

岡本氏は、自治体が「接種スケジュールに基づき、自治体はさまざまな努力をしているが、国の情報提供が不足している」「いつ何本届くのかが分からなければ、物流会社とも相談がうまくいかない」といった困難に直面していると指摘した上で、「政府とファイザーの間で守秘義務契約があることはわかっているが、せめて自治体には守秘義務を外して最大限の情報を共有してはどうか」と迫った。

これに対し、河野担当相は「いま問題となっているのは守秘義務ではなく、ファイザーがどれだけ供給できるかということと、EUの透明化メカニズムがこれにどう関わってくるかということ。自治体に共有できる段階になったらすみやかに共有するつもりだ」と述べ、現時点ではいつ、どこに、どれくらいのワクチンを配達できるか——といった基本的な情報を明かすことができないとの考えを示した。

ワクチンの物流をめぐっては、厚生労働省からの事前情報が不十分なため、接種事業の主体となる自治体がどう準備していいのか分からず、実際に業務を請け負う卸や物流業界でも正確な情報を把握できないなどとして国の情報公開を求める声が上がっていた。一部の自治体はバイクによる配送も検討していたという。

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こうしたなか、厚労省が自治体向けの手引きを9日になって改定。「移送にあたり自転車やバイクの利用は避ける」ことを明記し、遅まきながら具体的な輸送方法を示すに至ったものの、3日後の12日に再び改定した。

12日の改定では、接種体制の構築に際して「基本型接種施設に専任の担当者を配置するなどして、各サテライト型接種施設への配分本数・ロット番号などの管理を厳格に行う場合には、1か所の基本型接種施設に対するサテライト型接種施設の箇所数は、地域の実情に応じて定めることができる」「医療機関が通常の体制で自ら小分けを行う場合は、1か所の基本型接種施設に対するサテライト型接種施設の箇所数は、数か所までを目安とする」との要請を追加した。

このほか、保冷バッグの配布先については、10日になって「基本型接種施設と責任医師を決めて、市町村が管理する場所にディープフリーザーを設置する施設」とすることを決定。配布個数は1施設につき4個とし、基本型接種施設に決まった施設を対象として、2月中旬から5月下旬にかけて段階的に配布する、とした。

保冷バッグが4個で足りない場合は、自治体がファイザーワクチンの冷蔵移送に関して定められた「留意事項」を踏まえることにより「追加の保冷バックを購入して差し支えない」とした。

保冷バッグの構成(出所:厚生労働省)

「荷姿」すら不明、ワクチン物流の問題点は——