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三菱ケミカル物流、船長酒気帯びで輸送安全命令

2021年5月17日 (月)

行政・団体関東運輸局は17日、三菱ケミカル物流(東京都港区)に対して「輸送の安全の確保に関する命令」を発出した。昨年12月に、同社が船舶所有者の石峰海運との定期用船契約によって運航する「菱幸丸」が、浦賀水道航路で右側航行義務違反を犯すとともに、同船船長の酒気帯び状態による航海当直が横須賀海上保安部によって確認されたことを受けたもの。6月16日までに文書による報告などを求める

横須賀海上保安部からの通報を受けた関東運輸局が1月27日に三菱ケミカル物流に対して立入検査を実施した結果、出港時の勤務者へのアルコール検査を誰が行うのか明示されていないこと、同船では以前から検査を実施していなかったこと、当時の船長が、呼気1リットル中のアルコール濃度が規定値の4倍を超える状態で勤務したこと、合わせて船長がアルコール検査を実施せず、以前からアルコール検査記録を偽造し、船舶所有者と乗組員が見逃していたことが分かったという。

加えて、同船のアルコール検知器が正常に作動していなかったこと、船舶所有者の石峰海運とその乗組員への酒気帯び勤務禁止を含めた安全教育を十分に実施していなかったことなども判明した。

関東運輸局は三菱ケミカル物流に対して、6月16日までに(1)経営トップが法令順守と安全最優先の原則を社内や船舶所有者に周知徹底するとともに、安全管理体制の継続的改善を主導すること、(2)酒気帯び状態での当直を確実に防止するための具体策を講じ、実効性のある安全管理体制を確立すること、(3)出港時における勤務者に対するアルコール検知器による検査実施と、検査記録の保存について規定すること、(4)船舶所有者や乗組員に対して安全教育を定期的に実施し、緊密な報告の励行を徹底させること──などを求めている。