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鉄道貨物の品質に課題、養生コンテナ実用化を検証

2026年3月5日 (木)

ロジスティクス鉄道貨物協会は4日、1月下旬に開催した「第7回利用促進委員会」と「第7回輸送品質向上委員会」の審議内容を整理した。荷主アンケートの結果から、鉄道輸送そのものではなく、コンテナの集配区間でトラックドライバーや緊締車が不足し、鉄道利用の拡大を阻害している実態が浮かんだ。加えて、モーダルシフトの阻害要因として上位に挙がる「輸送品質」への懸念に対し、養生機能を施したコンテナの実用化条件をコスト面から検証し、次年度も開発・評価を継続する方針を示した。

利用促進委員会(1月21日)では、年度テーマ報告書(案)と次年度テーマ選定について意見交換。荷主アンケートの一部抜粋では、集配区間で「ドライバーが不足し、かつ緊締車も不足している」区間として、山口県発の茨城県、富山県、愛知県向け(化学工業品、1月あたり20-90トン)が挙げられた。鉄道区間の前後を担う集配の体制が細ることで、鉄道の利用余地があっても実務上の制約が先に立つ構図が見える。

また、積替ステーションの利用・検討状況では、北海道発の首都圏・中京・関西向けで農産品・青果物や食料工業品の大量輸送ニーズが目立つ一方、青森発の首都圏・関西・九州向け、新潟発の首都圏・中京向け(紙・パルプ)などでも検討が進む。すでに利用している区間として北海道-東京・大阪(農産品・青果物)や、宮城-埼玉(紙・パルプ、1月あたり3000トン)などが並び、利用が一部に定着しつつあることも示された。ただし、区間ごとに不足感の濃淡があり、とくに緊締車の不足がボトルネックになりやすい点は、鉄道側だけでは解消しにくい課題と言える。

輸送品質向上委員会(1月23日)は、年間テーマ「養生機能を施したコンテナの開発・検証IV〜実用化に向けた提言〜」の一環として、実用化に向けたコスト算出を行った。養生機能付きコンテナは、これまでの実証で養生費用や作業時間の負担軽減が確認され、養生効果も同等以上と評価された一方、導入・維持コストが普及のハードルとなる。新造費は1基あたり250万-300万円、可動式間仕切り部品のメンテナンス費は15年で25万円とした。運用面では、1輸送あたり削減できない養生関連費用を316円、間仕切りの固定・解除作業(計2分)の人件費を67円と見積もり、計383円が発生すると試算した。

これに対し、従来のJRコンテナで養生を行う場合の費用は、1輸送あたり2626円と算出。15年間での比較では、年間60輸送ではJRコンテナの方が67万円低コストとなり、導入メリットは乏しい。一方、年間90輸送では養生機能付きが50万円低コストとなり、損益分岐は年間78輸送以上と整理した。年間120輸送では165万円の削減効果が見込まれ、一定以上の輸送回数を確保できる荷主・運用に限って実用性が高まるとした。

協会は26年度も「養生機能を施したコンテナの開発・検証V」(仮称)をテーマに継続する。可動式間仕切りの固定に用いるラッシングレールを活用し、ラッシングベルトによる輸送で養生効果と負担軽減効果を検証する。間仕切りを省くことで製造・保守コストを下げられるかが焦点となる。

輸送品質の改善は、24年度調査でモーダルシフト阻害要因の2番目に挙がった「振動や揺れなど品質への課題」への回答にもなる。集配区間の車両・人手不足と輸送品質への不安という二重の壁をどう崩すかが、鉄道貨物拡大の現場課題として改めて浮き彫りになった。

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