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経営課題首位は「人材強化」90.2%、TDB調査

2026年3月4日 (水)

調査・データ帝国データバンクが4日公表した「企業の経営課題に関するアンケート(2026年)」によると、26年に取り組むべき経営課題として「人材強化(採用、定着、育成)」を挙げた企業が90.2%に達し、31項目の中で突出した。次いで「既存顧客との取引深耕」66.0%、「販路開拓」60.5%が続き、売上の維持拡大と人材確保が同時進行のテーマになっている構図が浮かぶ。調査は26年1月20日から2月6日にかけてインターネットで実施し、有効回答は5241件(経営層・マネジャー)だった。

▲重要度の高い経営課題TOP10(クリックで拡大、出所:帝国データバンク)

人材領域では「賃上げ・人事評価制度への対応」も57.6%と上位に入り、特に中小企業で62.6%と高かった。売り手市場の下で処遇や制度の透明性が採用・定着に直結しやすくなっている。一方で、制度整備を進めたくても資金制約が大きい企業も多く、必要性と実行の間にギャップがある。着手時期でも、組織・人材は「即時」「早期」を合わせた「1年以内」が80.5%と最も高く、先送りが難しい課題として認識されている。

物流業界の視点で見ると、この「人材」がボトルネック化する流れは、現場の要員確保だけでなく、営業、企画、ITなど間接部門にも波及しやすい。荷主・物流事業者ともに、運賃の見直しや価格転嫁、オペレーションの標準化、DX(デジタルトランスフォーメーション)投資を進めようとしても、推進人材や教育担当の不足が実行速度を鈍らせる。調査でも、経営課題に取り組むうえでの障壁として「人材の不足」「ノウハウの欠如」「必要なスキルの不足」が多く挙げられており、現場改善やシステム導入が「手段」から「運用」へ落ちる局面で詰まりやすいことを示唆する。

財務・リスク面では「資金繰り・財務体質の強化」が52.5%で最多となり、小規模企業では61.9%と喫緊度が高い。原材料やエネルギー、人件費の高騰に加え、金利・為替、地政学リスクなど外部変動が続くなか、キャッシュ確保が最優先になりやすい。サプライチェーン・設備の項目では「設備投資」48.0%と「原材料やエネルギーコスト上昇の価格転嫁」47.7%が拮抗し、生産性向上とコスト対応を同時に迫られる実態が表れた。物流に置き換えれば、自動化・省人化への投資判断と、燃料・人件費上昇分の転嫁が並走する局面であり、転嫁が進まなければ投資余力が生まれにくい「循環不全」に陥るリスクがある。

業務改革・DXでは「業務の標準化」58.3%が最上位で、「AI活用」40.4%、「業務プロセスのDX化」40.1%、「データ活用基盤の整備」39.0%が続いた。ただし、AI活用などは企業規模による差が大きく、大企業・中堅企業と小規模企業では30pt前後の開きがあるという。物流現場でも、標準化されていない業務・データの断絶は、配車・倉庫・請求といった機能間の最適化を阻む要因になりやすい。外部リソースの活用方針では「社内中心で一部外部リソース活用」が57.3%と最多で、社内だけで完結しない領域が増えている現状もうかがえる。

▲業務改革・DXの経営課題、着手時期(クリックで拡大、出所:帝国データバンク)

成長戦略としては「取引深耕」66.0%、「販路開拓」60.5%が柱となった。物流市場では荷主側の調達方針や在庫政策の変化が早く、既存取引の維持だけでは需要変動の影響を受けやすい。収益性を確保できる顧客・サービスへ資源を振り向ける「取引の選別」と、新規獲得を両立できるかが問われる。

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