国際中国の旧正月(春節)休暇が終わり、工場は動き始めた。ただ、労働者の戻りが鈍く、フル稼働に戻るのは2026年3月中旬以降になりそうだ。2月に急増した欠便(ブランクセーリング)の影響も尾を引いており、日本向けの電子部品や自動車部品では、3月上旬から中旬にかけて数日から1週間ほどの入荷遅れが見込まれる。(編集長・赤澤裕介)

(イメージ)
26年の春節は2月17日に始まった。公式休暇は2月15日から23日までの9日間で、中国政府が定めた春節休暇としては過去最長だ。3月3日の元宵節(ランタンフェスティバル)が伝統的な祝祭の区切りとなるが、工場の現場はまだ戻りきっていない。
国際物流大手セコ・ロジスティクス(米国)が公表した26年版の計画ガイドによると、休暇後の最初の2-3週間は労働力ベースで35%程度からのスタートになる。わかりやすく言えば、ふだん1000人で回している工場が350人ほどで再開するイメージだ。帰省先からの移動に時間がかかるだけでなく、旧正月を機に転職したり、製造業そのものを離れたりする労働者も少なくない。同ガイドでは離職率を25%程度と見積もっている。経験の浅い新人が多くなるぶん、品質面の不安定さも出やすい時期だ。
では、いつごろフル稼働に戻るのか。複数の物流メディアや業界データを総合すると、大半の従業員が復帰するのは3月8日ごろ、操業がほぼ正常化するのは3月17日ごろというのが目安になる。セコ・ロジスティクスも「中旬から下旬に完全回復」との見通しを示しており、業界の見方はおおむね一致している。
■湾は地域差が大きい、寧波に注意
港の混み具合は一様ではない。物流大手キューネ・アンド・ナーゲル(スイス)が公表した2月下旬時点のデータを見ると、上海港の7日平均船舶待ち時間は1.85日。ヤード占有率はWGQターミナルで58%、YS12で68%と、旧正月前の混雑からかなり落ち着いてきた。キューネも「旧正月後に港湾混雑はかなり緩和された」と報告している。
一方、寧波港は事情が違う。MSICTターミナルのヤード占有率は80%と高水準が続き、待ち時間も1.72日を記録している。寧波はもともと中国東部の製造業輸出のゲートウェイとして貨物が集中しやすく、旧正月後もヤード密度の高止まりが目立つ。日本向けの貨物で寧波経由のルートを使っている荷主は、スケジュールに余裕を持っておきたい。
欠便の状況も確認しておこう。海事コンサルタントのドリューリー(英国)によると、2月は主要東西航路で136便がキャンセルされ、前月比122%増となった。太平洋航路東行きが61%と最多で、アジア-欧州・地中海航路の24%が続く。旧正月の季節要因だけでなく、地政学的緊張や米中間の関税問題といった構造的な要因も重なった結果だ。
ただ、「船が足りなくなる」と過度に心配する必要はなさそうだ。同社の分析では、25年第4四半期から26年第1四半期にかけて市場に提供される実効船腹量は削減されない見通しで、3月に入ると欠便数も66便(全体703便の9%程度)に減る見込みだ。2月のピークからは明確に落ち着く方向にある。主要海運市況指標でも、2月19日時点の40フィートコンテナ運賃は1919ドルと前週比1%の下落が続いており、欠便増加が運賃の急騰につながる状況にはなっていない。
日本の荷主にとって気になるのは、工場の復帰遅れと欠便の残存が重なることで、実際にどの程度の遅れが出るかだ。港湾の待ち時間データと欠便の影響を加味すると、3月上旬から中旬の船便で数日から1週間程度の遅れが生じるケースが見込まれる。とりわけ影響を受けやすいのは中国発の電子部品(半導体、ディスプレイ)、自動車部品(ティア1・ティア2)、機械部品だ。EC(電子商取引)の春商戦を控えた時期でもあり、在庫切れリスクへの警戒は欠かせない。
短期的には、3月上旬から中旬にかけて一部ルートで船腹スペースがひっ迫し、運賃が一時的に硬化する場面もありそうだ。3月下旬には工場がフル稼働に近づき、港湾のバックログも解消に向かうだろう。
明るい材料もある。ことしのプレホリデー輸出ラッシュは、地政学的な不確実性を背景に荷主が慎重にフロントローディングしたため例年に比べ抑制的で、旧正月後に港湾で処理すべきバックログが小さい。海外の海事コンサルタントは、そのぶん回復スピードが過去平均を上回る可能性を指摘している。
もう少し先を見ると、4月以降のリスクとして労働力の定着率低下がある。旧正月の帰省を機に転職する労働者が増える傾向は年々強まっており、一部の工場では本格稼働への復帰がさらに遅れることも考えられる。業界全体としては「26年は例年並みかやや長め」の回復パターンになるとの見方が多い。
いますぐ動ける対応としては、まずサプライヤーに復帰状況と3月出荷分の生産計画を確認すること。安全在庫の再計算では最低2週間のバッファを確保しておきたい。航空貨物へのシフトやベトナム経由ルートなど代替輸送手段の検討も並行して進めるべきだろう。セコ・ロジスティクスのガイドや海事コンサルタント各社の週次レポート、上海・寧波の港湾データを定期的にチェックし、状況の変化に備えたい。
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