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三菱ふそう、米ワイズ・システムズと次世代配送計画システムで業務提携

商用車メーカーの「物流特化型」ビジネスに注目

2021年7月15日 (木)

(出所:三菱ふそうトラック・バス)

M&A三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)は15日、AI(人工知能)と機械学習を活用した次世代の配送計画ソフトウェアを開発するWise Systems(ワイズ・システムズ、米国マサチューセッツ州)と業務提携を結んだと発表した。今回の業務提携により、MFTBCはワイズ・システムズの国内パートナーとして、同社が開発した次世代配送計画システム「ワイズ・システムズ」の市場展開を2021年10月に始める。消費動向の多様化に、新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛が重なり、物流ビジネスへの注目はこれまでにないほど高まっている。MFTBCは商用車メーカーとして、こうした動きを先取りして、新たな商機の獲得に乗り出した。

ラストワンマイル配送を最適化する配送計画システムである「ワイズ・システムズ」の最大の強みは、「FUSO」ブランドのトラックに限らず、全てのブランドのあらゆる種類の車両で利用可能な仕様としたことだ。より幅広いラインアップでのシステム導入が可能となり、宅配便などのラストワンマイル配送をはじめとした物流需要により的確に対応できるようにした。

(出所:三菱ふそうトラック・バス)

「ワイズ・システムズ」の基本的な機能は、AIと機械学習によって車両オペレーションに関わるリアルタイムのデータを継続的に学ぶことで、より効率的な配送計画を作成できることだ。米国のユーザーを対象とした調査では、平均で走行距離を15%削減、稼働率を20%向上、配送遅延を最大で80%解消した。車両運行を効率化できることでCO2排出削減にも貢献し、米国のユーザー企業は車両の走行距離とCO2排出を15%削減した。深刻なドライバー不足を解決に導くソリューションという側面もある。まさに、物流事業者が求めている課題を相当程度意識したシステムというわけだ。

MFTBCのハートムット・シック社長は、今回の提携の目的について「物流と配送におけるニーズにタイムリーに対応すること」とコメント。ワイズ・システムズのチャズ・シムズCEOも「ダイナミックなオペレーションと、ドライバー、配車担当者、エンドカスタマー向けの直感的で高品質な機能を組み合わせることで、市場での優位性とクラスリードのラストワンマイル配送を提供する」と国内での物流業界への普及に自信を見せる。

MFTBCは、今回の業務提携により、車両管理だけでなく、物流・配送プロセスに関わるすべてのニーズに迅速に対応するソリューションを提供することで、物流業界への普及拡大につなげる考えだ。商用車メーカーによる「物流特化型」の市場展開は、今後も広がることが予想される。物流現場が抱える構造的な課題の解決に向けたひとつのアプローチ手法として、注目を集めそうだ。(編集部・清水直樹)