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アスクルの物流事業、3PL拡大で通期は黒字転換へ

2021年9月16日 (木)

ロジスティクスアスクルが16日発表した2022年5月期第1四半期(21年5月21日~8月20日)の連結業績で、ASKUL LOGIST(アスクルロジスト、東京都江東区)による企業向け物流・小口貨物輸送サービスのロジスティクス事業は、売上高が20億8800万円(前年同期比4.8%増)、営業損失が5900万円(前年同期は営業損失4億8000万円)となった。

アスクルによると、「その他」の事業を合わせた売上高は23億円(前年同期比1億円像)。連結子会社だったエコ配(東京都港区)を連結対象外としたことで7億円のマイナス影響があったものの、三芳センター(埼玉県三芳町)での3PL事業でグループ外の物流業務受託を拡大したことにより増加した。営業損益は事業拡大に加えてエコ配の連結対象外により大幅に改善し、4億円の赤字を1億円未満に縮小した。通期は黒字転換を見込む。

なお、アスクルの第1四半期の連結業績は、売上高が1024億4200万円(前期比2.3%増)、営業利益が32億7200万円(9.4%増)、経常利益が32億4000万円(8.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益が21億5300万円(43.3%増)。いずれも過去最高を更新している。

アスクルのロジスティクス事業、収益化が急ピッチ

アスクルのロジスティクス事業が急速に拡大している。2022年5月期は通期で営業黒字を達成できる見通しだ。事業そのものの拡大とともに、物流業務受託などによる固定費負担の一巡による効果や、「エコ配」の連結対象除外などで収益力を確保するめどが立ったとみられる。今後は、ロジスティクス事業を成長軌道に乗せていくためのビジネスモデルの構築が求められる。

ロジスティクス事業は、今まさに継続的な成長を見込める数少ない業界だ。新型コロナウイルス感染拡大の収束による経済の本格回復を見据えて、物流施設の開発案件が全国各地で相次いで持ち上がっている。さらに、コロナ禍による「巣ごもり需要」は国民の消費スタイルを一変させ、宅配サービスの急速な浸透につながった結果、物流現場の取扱量は急増。人手不足も顕在化している。いわば、課題山積の物流業界は、これまでになく高い注目を集めているというわけだ。

アスクルがロジスティクス事業に本腰を入れている狙いも、まさにそこにある。主力のBtoB事業で培った配送サービスのノウハウは、ロジスティクス事業を下支えしていくだろう。3PL事業を主軸としながら、収益を一気に高めていく戦略を描くとすれば、アスクルの事業モデルそのものを変える力になる可能性もある。急ピッチで進むロジスティクス事業の収益化は、アスクルの事業ポートフォリオを転換するだけのパワーを感じる。(編集部・清水直樹)