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日通、羽田空港の国際貨物拠点を更新し機能強化へ

2021年10月15日 (金)

ロジスティクス日本通運は15日、東京国際(羽田)空港内の国際貨物拠点をリニューアルして10月1日にサービスを開始したと発表した。上屋スペースを2倍に広げたほか、集配拠点も新たに設置。国際線カーゴの発着が増加し、国際貨物拠点として重要さを増している羽田空港での機能強化を図ることで、国際物流サービスをさらに需実させる狙いだ。

▲新たな国際貨物拠点の内観(出所:日本通運)

日本通運は、羽田空港の国際貨物地区において唯一、自社貨物取扱施設を有するフォワーダー。このたびのリニューアルは、上屋スペースの拡張によりさらに多くの貨物を取り扱うことが可能となるほか、新たに集配拠点を設置し羽田空港発着の貨物に対する安定した集配サービスを提供する態勢を整える。

新拠点は、輸出入集配やAEO(貨物のセキュリティ管理と法令順守の体制が整備された事業者に対し税関が承認・認定し、税関手続の緩和・簡素化策を提供する制度)特定保税蔵置場の機能を持つ。

日本通運は今回のリニューアルを契機として、羽田空港の特性を活かした多様な物流サービスを展開することで、首都圏の国際航空貨物ビジネスにおける新たな選択肢を提供し、フォワーダー事業の強化を推進する。

■羽田空港内の国際貨物拠点の概要
所在地:東京都大田区羽田空港2-6-3 羽田空港国際貨物地区 第二国際貨物ビル
上屋面積:3330.26平方メートル
その他専有面積:1300.43平方メートル

国際航空貨物の羽田シフトはアフターコロナを見据えた「先手」の行動だ

日本通運が、東京国際(羽田)空港の国際貨物機能の増強に踏み切った。背景には、首都圏における国際航空貨物のターミナルが、成田国際空港から羽田空港へ不可逆的にシフトしている現実がある。日本通運は今回のリニューアルで、羽田空港を首都圏における国際航空貨物の「メイン」拠点とする意思を明確にした格好だ。日本を代表するフォワーダーとして、今後のさらなる羽田シフトの顕著化を見据えた動きだと考えるのが妥当な見方だ。

米国や中国を中心に、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済停滞からの回復基調が鮮明になるなかで、国際貨物取扱量はことしに入って、前年実績の2倍近いペースで推移している。この傾向はコロナ禍の収束後も継続するとみられることから、今のうちに将来の貨物量の増加に対応できる措置を講じたということだろう。

物流プレーヤーは、貨物を取り扱うシステムを提供するサービスを担う。日本通運の今回の機能増強は、こうした役割を認識して先手の策を講じたという意味で、評価される取り組みであり、カーゴ領域における国際競争力の向上にも寄与する施策として認識するべきだろう。(編集部・清水直樹)