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グッドデザイン賞、物流関連企業も続々と受賞

2021年10月20日 (水)

(出所:ヤマトホールディングス)

認証・表彰日本デザイン振興会は20日、「グッドデザイン賞」の2021年度受賞結果を発表した。物流関連企業では、ヤマトホールディングスなどが受賞。物流業界もサービスのデザイン化でブランドイメージ構築や高機能化を推進する動きが広がっているようだ。

ヤマトホールディングスは、ことし4月に導入した、ネコをあしらった「クロネコマーク」「アドバンスマーク」がグッドデザイン賞に選ばれた。1957年に制定され64年間にわたって親しまれてきた、親ネコが子ネコをくわえた「クロネコマーク」を更新。コンセプトは残したままで印象をガラリと現代化した好例として評価された。

ラクスルが独自開発した配車管理システム「ハコベルコネクト」は、物流業界が抱える課題を解決に導く社会課題に向き合ったサービスデザインとして評価された。配車業務時間を削減して適切なリソース配分を実現する、業界の業務効率化を主導するDX(デジタルトランスフォーメーション)化の象徴的な事例として、サービスのデザイン性も含めた評価となったようだ。

(出所:MonotaRO)

物流資材メーカーでは、MonotaRO(モノタロウ)がことし9月21日に発売したオリジナル静音台車「MONOLLEY」(モノリー)が受賞。高い機能性と洗練されたデザイン性で、物流現場における作業性の向上につなげた点が評価されたようだ。

宅配サービスの高い機能性で受賞したのは、ソフトバンクグループのMagicalMove(マジカルムーブ)が提供する「Scatch!」(スキャッチ)。AI(人工知能)を活用した効率的な配送により早朝から夜間まで対応する宅配サービスで、顧客の利便性の追求だけでなく、圧倒的に低い不在配達率の実現につなげたシステム設計の完成度の高さが特筆すべきと評された。

車両メーカーでは、日野自動車グループのNEXT Logistics Japan(東京都新宿区)が構築する「高効率幹線輸送シェアリングスキーム」が受賞。「ドライバー不足によりモノが運べなくなる」という深刻な社会課題の解決を目的に、特にドライバー不足が深刻な幹線輸送に着目。25メートルダブル連結トラックを実際に運行するなど、パートナー各社とともに業種業態を超えた協働による持続可能な物流の実現に取り組む点が高く評価された。

21年度グッドデザイン賞は、前年より1000件以上増加し、過去最多となった5835件の審査対象のなかから、国内外のデザイナーや建築家、専門家など88人の審査委員による厳正な審査を経て、過去最多の1608件の「グッドデザイン賞」受賞が決定した。

物流の将来を「デザイン」できる取り組みに高い評価

「2021年度グッドデザイン賞」に、物流関連企業が多く選出された。評価理由を見てみると、デザイン性もさることながら、サービスの使いやすさや課題解決に向けた貢献など、より良い社会の実現に向けた取り組みが支持された印象が強い。社会に不可欠なインフラとしての認識が高まってきたことを裏付ける結果と言えないだろうか。

消費スタイルの多様化や新型コロナウイルス感染拡大は、物流現場における業務課題を浮き彫りにした。宅配ニーズの高まりで、物流現場の業務環境も激変するなかで、物流業界の外から参入する企業が相次ぎ、強みを生かした独自サービスで物流DX化を推進する旗手となっていった。

こうした企業は、業界に旋風を巻き起こしただけでなく、洗練した完成度の高いシステム構築で物流ビジネスそのものを変革しようとしている。物流関係で今回受賞した企業の多くは、こうしたプレーヤーだ。

グッドデザイン。それは、将来に確かな手応えを与えてくれる「デザイン」を明確に描く企業に与えられた勲章なのだろう。(編集部・清水直樹)