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日本GLP、滋賀でマルチ物流施設を22年2月着工へ

2021年10月27日 (水)

拠点・施設日本GLP(東京都港区)は27日、マルチテナント型物流施設「GLP 栗東湖南」(滋賀県湖南市)を開発する計画を発表した。2022年2月に着工し23年3月に完成する予定で、総投資額は77億円。滋賀県内では「GLP 野洲」(野洲市)に続く2件目の開発案件でマルチテナント型としては初めて。

「GLP 栗東湖南」の建設地は、名神高速道路や新名神高速道路にアクセスすやすいことから、関西圏に本社を置く製造業の生産拠点や物流倉庫などが多く立地。物流関連企業も多く、工業集積地として製造業や3PL企業からの先進的物流施設への潜在需要が見込める。しかしながら他のディベロッパーの進出は進んでいないことから、日本GLPは賃貸物流マーケットが大きく伸長するエリアであると判断し、当地での開発を決めた。

「GLP 栗東湖南」は、日本GLPがこれまで蓄積したマルチテナント型施設開発のノウハウを活かし、最大6テナントが入居可能で小規模なスペースニーズにも対応する仕様とする。高度なマテリアルハンドリング設備の導入をはじめとする自動化装備を施すなど、効率的なオペレーションを実現する。

就労環境にも配慮する。エントランスやカフェをはじめとする共用部に洗練されたデザインを取り入れて居心地の良さを演出するほか、大型シーリングファンやパウダーコーナーを設置するなど働く人の快適性を追求し、雇用の安定を図る。鉄道駅も徒歩圏内で周辺に住宅地もあり将来的な人口増加も見込めることから、雇用確保の観点でも好立地と言える。

環境対応水準の高さも特徴。太陽光発電を自家消費し、補完としてのグリーンエネルギー購入と合わせて、再生エネルギー100%の達成を目標とする。BCP(事業継続計画)の観点では、地震対策として耐震性能の高いブレース材を採用し安全性を確保するほか、24時間稼働の非常用発電機の装備や浸水・液状化対策を講じることにより事業の継続性を確保する。

日本GLPの帖佐義之社長は「GLP 栗東湖南」の開発の意義について「中部圏と関西圏の中間に位置し、両都市圏への広域配送および京滋地区へのエリア配送拠点として最適な立地。物流拠点としての発展が期待される地域であり、ここに新たに賃貸物流マーケットを切り拓いていきたい」とコメントしている。

■「GLP 栗東湖南」の概要
所在地:滋賀県湖南市石部北5-1-1
敷地面積:2万800平方メートル
延床面積:4万2000平方メートル
構造:鉄骨造、地上4階建て
交通:名神高速道路「栗東湖南インターチェンジ(IC)」4キロメートル、新名神高速道路「甲賀土山IC」28.1キロメートル、JR草津線「石部駅」1.5キロメートル

「都市間」に物流施設を置くメリットを示す日本GLPの「GLP 栗東湖南」開発計画

日本GLPが滋賀県湖南市にマルチテナント型物流施設の開発を決定した。物流施設の開発プロジェクトは、荷物が集まる大都市圏と、中継地となる郊外を適地とする発想が主流だと言える。あえて中部圏と関西圏の中間点に物流拠点を置く意義を業界に示す戦略は、新たな境地を開く取り組みと言えそうだ。

まずは、日本GLPの帖佐社長が指摘しているように、両都市圏への広域配送や京滋地区へのエリア配送拠点としての位置付けだ。両都市圏は高速道路で3時間圏内の距離にあり、滋賀はちょうど中間だ。両都市圏のどちらかよりも中間点に拠点を置くほうが、より効率的な輸配送を実現できる企業もあるだろう。

もう一点のメリットは、ドライバーの労務管理だ。名阪間だけで見ると比較的近距離ではあるが、関東や中四国、九州など広域の視野で見ても、滋賀は中間地点になりうる。滋賀県内に名神高速道路にサービスエリアやパーキングエリアが多く立地しているのはそのためだ。さらには、冬季の降雪や凍結対策としても、滋賀県南部の栗東湖南エリアに拠点があるのは、事業継続の観点からも非常に絶妙な戦略であると言えるだろう。

千葉県流山市や相模原市といった「都市圏」で大規模物流拠点を展開し話題をさらっている日本GLP。今回のような「都市間」の拠点戦略で強みを発揮するようになれば、もはや国内で無敵の物流開発プレーヤーとして君臨することになるだろう。今回の開発案件は、物流施設の立地選択が、まさにサプライチェーン最適化の行方を左右する「戦術」であることを明確に示している。(編集部・清水直樹)