荷主大阪市此花区の人工島・舞洲にある日立物流西日本の倉庫で11月29日に起きた大規模な火災を受けて、物流各社の防火対策を見直す動きが活発化している。それに合わせて、マテハン機器を手がける企業も、従来の省人化や作業効率アップといった特徴に加えて、防火対策をアピールポイントとして全面に押し出すことで、商機をうかがっている。
ロジアスジャパン(東京都千代田区)は今年4月、火災発生時に火災報知器に連動して自動停止することが可能な超大型シーリングファン(最大直径7.3メートル)の販売を開始した。

▲超大型シーリングファン「エミアスファン」のニューモデル(出所:ロジアスジャパン)
ファンの大きな羽をゆっくり回転させることにより、大容量の空気循環を生み出し、建屋内の空気を均一に保つほか、社員の熱中症や感染症対策にも役立てることができる。
各階のフロアごとなどに最大20台まで設置可能なこのファンは、セントラルコントロールされていて、火災発生時には火災報知器と連動して、すべてが自動停止されるしくみだ。
同社によると、倉庫のような開口部が狭く、通年にわたり換気がしにくく空気の滞留がおこりやすい環境では、ファンのような換気装置が必要不可欠だという。
熱中症や感染症対策としてはもちろん、梅雨の湿気対策として、また、冷蔵倉庫と常温倉庫との温度差が大きい場所などでの結露防止、衛生管理の厳しい食品工場でのカビ防止、鋼材製品の保管場所でのサビ防止といった、倉庫特性に応じた目的に合わせた換気設備が必要だ。
だが、いざ火災が発生した場合に、ファンが自動停止されないと、炎の広がりを加速させ、延焼範囲の拡大につながってしまう危険があることが、課題となっていた。
すでに全国の物流センターや工場などで利用されているが、今回の火災発生を受けて、新たに導入を検討する企業からの問い合わせが増えているという。
防火対策への商機 再発防止につながるか
物流倉庫には、消火器や消火栓といった防火設備の設置が消防法施行令で義務付けられているが、いざ火元から引火すると倉庫特有の構造もあり、たちまち今回のように大規模に燃え広がってしまうことが、防火対策を進めるうえでの高いハードルとなっていた。
火災発生時におけるファンの自動停止機能は、防火対策についての議論を今後、活発化させていきたい物流企業にとって、ひとつのトピックになるのではないか。
今回の大規模火災を機に、防火対策への注目が集まり、マテハン企業も開発に向けてしのぎを削っている。
こうしたさまざまな分野で活発となってきた動きが、誰もがのぞむ再発防止につながっていくことを願っている。(編集部・今川友美)