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森永乳業、仙台・大阪間輸送をトラックから鉄道に

2022年1月25日 (火)

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環境・CSR森永乳業は25日、東北森永乳業仙台工場(仙台市宮城野区)から大阪府の委託倉庫までの常温輸送において、輸送手段をトラックから鉄道コンテナに変更するモーダルシフトを2022年2月を目標に開始すると発表した。商品物流における環境対応策を強化することで、サステナビリティの発想に即した事業運営を推進する契機とする。

東北森永乳業仙台工場から大阪府の委託倉庫まで900キロの区間における常温輸送をトラックから鉄道コンテナに変更することで、CO2排出量の84.2%削減と年間排出量の65トン抑制を見込む。

森永乳業は、21年8月に東京都の委託倉庫から福岡県の委託倉庫までの1100キロの常温輸送において、トラックからトレーラーと船舶を利用した海上輸送に変更。車両台数削減と船舶輸送によってCO2排出量を77%削減したほか、年間排出量も382トン抑えた実績がある。

森永乳業グループは、コーポレートスローガン「かがやく”笑顔”のために」のもと、森永乳業グループ10年ビジョンにて「サステナブルな社会の実現に貢献し続ける企業へ」を打ち出す。19年度を初年度とする3か年の中期経営計画では、経営理念実現に向けた「ESGを重視した経営」を掲げており、継続的な発展につなげるサステナビリティ経営を推進している。

森永乳業グループは、今回の仙台・大阪間のモーダルシフトの実施を契機として、商品輸送における脱炭素化の推進をはじめとするサステナビリティ経営をさらに推進し、企業価値向上にもつなげていく。

メーカーの物流部門が相互連携でサプライチェーンの最適化を図る、それがモーダルシフト推進の秘けつに

物流業界の主導で推進してきたモーダルシフトの動きが、各企業にも広がってきた。政府によるカーボンニュートラルの実現目標に基づく脱炭素化の機運が産業界全体で高まるなかで、企業が自主的に環境対応策を講じる取り組みが定着してきている。今回の森永乳業の取り組みは、こうした動きを象徴したものと言える。

メーカーのサプライチェーンは、脱炭素化の効果が高い領域として注目されている。裏を返せば、それだけ温室効果ガスの排出削減の余地が大きいということであり、その元凶としてやり玉に挙げられるトラック輸送の代替手段として、鉄道貨物輸送の復権が語られるようになった。

さらには船舶も組み合わせることで、リードタイムに合わせて輸送モードを柔軟に選択する発想がメーカーに生まれてきているのは、カーボンニュートラル実現に向けた援軍になるだろう。

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とはいえ、こうしたメーカーが自社で複数の輸送モードを独自に展開するのは、必ずしも容易ではない。ここは、物流事業者が窓口となって柔軟にメーカーの輸送ニーズを受け入れる努力が欠かせないだろう。日本貨物鉄道(JR貨物)は、鉄道貨物輸送の特性である大量輸送と定時運行が強みだが、貨物駅と物流拠点の間のトラック輸送が前提となる。モーダルシフトはこうした輸送モードの最適な組み合わせが実現して、初めて成立する取り組みであることを忘れてはならない。

メーカーの物流部門は、サプライチェーンの一翼を担う意識を堅持しつつ、同業他社などとの連携を模索しながらの最適化を図ることで、より実効的なモーダルシフトが可能になる。(編集部・清水直樹)