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ZOZOがつくば新物流拠点に先進機器、3割省人化へ

2022年1月28日 (金)

ECファッション通信販売サイト「ZOZOTOWN」(ゾゾタウン)を運営するZOZOは28日、2023年8月の稼働を予定する新しい物流拠点「ZOZOBASE(ゾゾベース)つくば3」(茨城県つくば市)で3割の省人化を目指す方針を明らかにした。先進機器を導入することで業務の自動化を推進。今後の商品取扱量の増加を見据えた投資を積極的に実施する。

ZOZOBASEつくば3は、ZOZOBASEの5か所目となる施設となる。延床面積や商品保管能力はZOZOで最大規模となる。ZOZOは、商品供給における競争力をさらに強めるための取り組みとして、出荷時の商品仕分け業務などを対象とした自動化を推進。将来的な労働人口の減少、さらに物流現場での就労希望者の落ち込みを見据えた動きを加速している。

▲ZOZOBASEつくば3の外観イメージ(出所:ZOZO)

ZOZOの商品は、アイテムごとに形状が異なるだけでなく、小ロットで多品種なのが特徴。顧客ニーズに即したサービス展開を強化する上で、こうした特徴は商品企画や営業戦略の観点では圧倒的な差別化を図れる強みがある。一方で、物流現場における商品仕分けなどの業務においては、より人手のかかる作業が求められる場合もあり、現場業務の標準化・効率化が喫緊の課題になっていた。

ZOZOはZOZOBASEつくば3に、豊田自動織機・トヨタL&Fカンパニー製の自動仕分けシステム「Pocket Sorter」(ポケットソーター)を導入することを決定した。ピッキングした商品を注文ごとに自動で仕分けする機能があり、3.5キロ以内の軽量物を的確で迅速に対応できるのが特徴。国内では初の導入事例になるという。

▲豊田自動織機の自動仕分けシステム「Pocket Sorter」(出所:ZOZO)

ZOZOは、ZOZOBASEつくば3に再生エネルギーを100%導入する予定。環境対応を重視する姿勢を示すことで、持続可能な社会の創造につなげるとともに、企業価値向上を図る。

ZOZOBASEつくば3の概要
所在地:茨城県つくば市御幸が丘34
入居物件:プロロジスパークつくば3
延床面積:13万7000平方メートル(賃借エリア)

通販ビジネスの本質を熟知したZOZOの物流施策の象徴「ZOZOBASEつくば3」

ZOZOが、2023年8月の稼働を計画するZOZOBASEつくば3で思い切った業務の自動化に踏み切る。その背景には、通販業界で生き残りを図るために不可欠な、強靭で柔軟な商品供給体制の確保を図る強い意思がある。通販ビジネスを担う上で、こうした物流拠点で業務が滞る事態になれば、商品力が高くても消費者の信頼を一気に喪失することになりかねないからだ。

EC(電子商取引)サービスの急速な普及で、国民の消費スタイルは一変した。新型コロナウイルス感染拡大は、こうした流れを決定づけた。その前提は、ZOZOに代表される通販・ECサービスにおける商品供給体制が正常に機能していることだ。

(イメージ)

裏を返せば、それが担保されないならば、このビジネスモデルは成立しないばかりか、国内外のライバルとの競争であっという間に淘汰されてしまう。かつてのリアル店舗の役割を、通販・ECの世界では物流倉庫が担うことになったのだ。

ZOZOは、リアル店舗のアパレル商品展開と同水準以上の利便性と消費者ニーズへの対応ラインアップを、ウェブサイト以上で提供している。こうした破格のサービスを実現しているのは、物流プロセスを極めて重視しているためだ。それが通販・ECビジネスの本質だ。今回のZOZOの取り組みは、その事実を明確に示している。(編集部・清水直樹)